なぜ「マイナンバーカード」の普及が進まないのか?:Mobile Weekly Top10
総務省が主管する「マイナンバー(個人番号)制度」。その要となる「マイナンバー(個人番号)カード」ですが、発行開始から約6年半でようやく発行率が50%を超えたそうです。なぜ、遅々として普及が進まないのでしょうか……?
ITmedia Mobile Weekly Access Top10
2022年10月13日〜2022年10月19日
- 「ほぼ全員」にはほど遠い マイナンバーカードがなかなか普及しない理由
- 「Pixel 7/7 Pro」速攻レビュー 性能重視ではないが、多くの人に“刺さる”と感じた理由
- mineoの契約数が「大幅に増加」した理由 “eSIM+低速使い放題”で複数回線のニーズに応える
- イオンモバイルを契約してみた 「お得度」や「通信品質」を徹底検証、手続きの注意点も
- Androidスマホで「マイナンバーカード」の電子証明書を利用可能に 2023年5月11日から
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ITmedia Mobileにおける1週間の記事アクセス数を集計し、その上位10記事を紹介する「ITmedia Mobile Weekly Top10」。今回は2022年10月13日から2022年10月19日までの7日間について集計し、まとめました。
今回の集計期間におけるアクセス数の1位は、マイナンバー(個人番号)カードの普及が進まない理由を考察した記事でした。
マイナンバー(個人番号)制度を所管する総務省によると、マイナンバーカードの交付率(実際に発行に至った比率)は、9月30日時点で全国民の49%(参考リンク:PDF形式)としていますが、複数の報道によると10月18日付で50%を超えたとのことです。発行開始から6年半ほどが経過するマイナンバーカードですが、「まだ半分か」「もう半分か」と、立場によっては見方が変わるとは思います。
発行がなかなか進まない理由として、申請はオンラインでできたとしても受け取りに本人が出向かないといけないことが大きいと、以前のランキング記事でも指摘しました。
マイナンバーカードの前身である「住民基本台帳(住基)カード」を持っていて、マイナンバーカード自体も早期に手に入れた私としては「受け取りのハードルさえ乗り越えれば問題ないのでは?」と考えていたのですが、よくよく考えてみると、普及が遅い理由として以下のようなことも考えられるのではないかと思い至りました。
- 日本では運転免許証が「写真付き身分証明書」として広く通用する
- マイナンバーカードにマイナンバーを含む個人情報が記載されている
- パスワードが複数あって覚えきれない
- 利用できるシーンの説明が足りていない
- (再)発行に時間が掛かりすぎる
まず運転免許証ですが、日本では本人確認書類として広く通用します。携帯電話サービスの契約時も本人確認書類として利用可能です。
ただ、運転免許証の真贋(ホンモノかどうかの)確認を厳密に行うケースはめったになく、来た本人と顔写真の人物が一致するだけで確認完了ということが多い点はとても気になります。最近も、偽造された運転免許証で本人確認をパスされてしまい、携帯電話サービスを無断解約されたという報道がなされました。
現行の運転免許証には非接触ICチップが搭載されていますが、実はICチップには(モノクロですが)本人の写真データも収録されています。運転免許証のデータを読み出すプロセスを組み入れれば、より精度の高い本人確認ができるはずなのですが、そうなっていないのが現状です。
運転免許証を取得したことのない人にとって、マイナンバーカードは貴重な写真付きの身分証明書となります。現行の運転免許証と同様に、マイナンバーカードの接触/非接触ICチップにも(モノクロですが)本人の写真データが収録されています。提示を受けた際にデータの照合も行えば、より高い精度の本人確認が行えるはずです。
ただ、マイナンバーカードにマイナンバー“そのもの”や住所や生年月日が書かれていることを懸念する意見もあります。「運転免許証にも免許番号、住所や生年月日が書かれているけれど、それはいいの?」とツッコミたくなる所ですが、どうやらマイナンバーが漏えいすると“芋づる式”で個人情報を引っ張り出せるのではと懸念している人も多いようなのです。
まず、大前提としてマイナンバーカードに記録されているデータは「券面の記載事項(※1)」と本人確認や署名添付用の「電子証明書」のみで、それ以外のデータは搭載されていません。また、マイナンバーを利用する各種サービスのデータは、それぞれが“独立した”データベースで管理されている上、マイナンバー“だけ”では情報を参照できないようになっているため、マイナンバーが流出してしまっても、芋づる式に情報が引き出せるということはありません。マイナンバーカードと一緒に電子証明書のパスワードが盗まれてしまうようなことがない限り問題はありません。
「券面を見せるのが不安」「持ち歩いてなくすのが心配」という場合は、2023年5月11日からAndroidスマートフォン(一部機種)で対応する予定の「スマホ版電子証明書」に期待しましょう。仕組みの都合で比較的新しい機種のみ対応することになるかもしれませんが、マイナンバーカードそのものを持ち歩かなくても多くのことをこなせるようになります。ただし、これは既にカードを持っている人向けの「付加サービス」なので、マイナンバーカードを発行する手間から逃れることはできません。
そうなると、普及における一番の懸念材料は(再)発行に時間が掛かりすぎることと、受け取りの手間なんだろうなと改めて思います。これらはもうちょっと柔軟性を持たせてもいいと思うのですが……。
(※1)「ドナーカード(臓器提供意思表示カード)」情報は記録されません
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