Qualcommが“ARグラス専用プロセッサ”を開発した理由 スマホ連携がカギに:Snapdragon Summit 2022(2/2 ページ)
Qualcommが、ARグラスに特化した専用プロセッサ「Snapdragon AR2 Gen 1」を発表した。XR向けのデバイスはスタンドアロン型ではなく、スマホなどのデバイスと連携するローカルホスト型を採用。AR対応アプリやコンテンツの動作を保証するプラットフォーム「Snapdragon Spaces」も推進していく。
サードパーティーの市場参入を容易にする「Snapdragon Spaces」
Snapdragon Spacesは、2021年11月に「Snapdragon Spaces XR Developer Platform」の名称で開発キットのアナウンスが行われ、2022年6月に一般提供が開始された。KhronosのOpenXRをベースに開発されたもので、クロスプラットフォームでAR対応アプリやコンテンツの動作が保証される仕組みだ。
もともと明確な標準のない世界ではあったが、共通プラットフォームとして仕組みを共有することで、サードパーティーの市場参入が容易になり、デバイスOEMもこの市場をターゲットにした商品を投入しやすくなる。そして何より重要なのが、ローカルホスト型のスマートグラスにおいて「Snapdragon Spaces-ready」のブランディングが行われることで、このラベルが付与された機器同士であればスマートフォンとスマートグラスを自由に組み合わせてSnapdragon Spaces対応のアプリやコンテンツを楽しめること。ユーザーとメーカーの両者にとって分かりやすい仕組みだ。
コンテンツやサービスの互換性の例としては、Nianticが発表した「Lightship VPS(Visual Positioning System)」と「Snapdragon Spaces XR Developer Platform」の連携が分かりやすい。Lightship VPSはもともと2018年に「Niantic Real World Platform」の名称で発表されたもので、後にLightshipに改名された。IngressやPokemon Goを見れば分かるように、Nianticはもともとリアル世界と仮想空間を結び付ける位置情報データを保持しており、これを使ってのオブジェクトマッピングやコンテンツ共有をプラットフォーム化したのがLightship VPSとなる。
簡単にいえば、ARを通じてピカチュウのようなキャラクターを現実世界に投影しつつ、そのキャラクターを複数のユーザーがLightship VPSを通じて同時に見ることができる仕組みだ。完全にデータの同期されたARのマルチプレイヤーゲームなども実現できるわけで、バーチャルワールドとはまた違った楽しみ方ができる。
Snapdragon SummitではNianticが「Outdoor AR Headset」と呼んでいるデバイスのイメージ画像の他、この仕組みを活用したゲームのデモプレイ画像が公開されており、2023年には実際にLightshipとSnapdragon Spacesが連携を開始することで、Lightship上で動作するアプリやサービスがSnapdragon Spaces-readyデバイスでも利用可能になるとみられ、よりARの世界が身近になると考えられる。
(取材協力:クアルコムジャパン)
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