“Googleにはなく楽天にある強み” 楽天モバイルと楽天市場の関係性、三木谷氏が新春カンファレンスで熱弁(3/3 ページ)
楽天グループは1月25日、グランドプリンスホテル新高輪(東京・港区)で「新春カンファレンス2024」を開催した。対象は主に楽天市場に出店する店舗だが、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏の基調講演が報道陣にも公開された。基調講演で語られた内容をお伝えする。
AIの知識を深める講座「Rakuten AI大学(仮名)」発表
楽天市場でもAIが活用される。「本イベントにお集まりの皆さん(出店者)にとってもAIは、とても欠かせないものになる」と語る三木谷氏は「商品構成や購買分析など、あらゆる面をAIが支える」と胸を張る。
ただ、AIと一口に言っても、機械学習や深層学習を活用し、データを提示したり、製品の分類を行ったりする従来型のAIから、コンテンツ、文章、画像などを生成できる、2023年のトレンドにもなった生成AIまで、その種類は多い。
例えば、楽天市場に出店する店舗のユースケースでは、ユーザーからの問い合わせの際、生成AIで回答文書候補を作成でき、問い合わせに対して人為的に回答せずに済む。日常の業務や店舗運営上行の分析などもAIで行えるという。
また、購買者と近い特性を持つ見込みの顧客を抽出する作業にもAIなどを活用できるという。例えば、購買傾向、価格趣向、楽天グループサービスの利用傾向など、920項目のファクトデータがあったとして、機械学習とスコアリングにより、これらのデータに合致する見込みの顧客を見つけるのに役立つという。
一方で、三木谷氏は「AIに関する理解度はまだ低い」と危惧する。そのため、「楽天市場におけるAIをどうやって皆さんに分かりやすく伝えていくか――これが一番大きなポイント」という。
そのため、楽天グループは最新モデル「ChatGPT-4」をベースにした楽天に最適化されたAIチャット「RMS AIアシスタント(β版)」を提供する他、AIの一般的な概要やRMS(楽天市場の管理画面)におけるAIアシスタントの活用方法を学べる講座を行う「Rakuten AI大学(仮名)」を近日提供予定だという。
楽天市場の出店者を支援するためにAI活用を本格化する楽天グループ。国内ECの流通総額が6兆円に達したことを明らかにした三木谷氏は、グループとして2030年に10兆円を目指す目標を掲げており、そのためにも「AI活用が欠かせない」と締めた。
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