トーンモバイルは“自社スマホ”をやめるのか? 石田社長に聞く「TONE IN」と「エコノミーMVNOの成果」:MVNOに聞く(2/3 ページ)
トーンモバイルは、これまでの戦略を大きく転換する「TONE IN」を導入する。ドコモで販売しているスマートフォンに、トーンモバイルのサービスを対応させる。端末からサービスまでを一気通貫で手掛けていたトーンモバイルだが、このタイミングでなぜ回線やサービス単独での提供に踏み切ったのか。
ドコモショップではトーンモバイルの指名買いが多い
―― TONE INは、2月ぐらいにテスト販売を始めていたということですが、まったく気付きませんでした(笑)。
石田氏 代理店を区切り、どのぐらい設定したか、予約からどの程度購入いただけたかを見ていましたが、思っていた以上にいいデータが取れました。個人的には、持ち込み端末がこんなに多くなるとは思っていませんでしたね。端末も、(AQUOS、Xperia、Galaxy、arrowsなど)全ブランドが売れています。
―― やはりニーズがあったということでしょうか。
石田氏 分かりやすくするためにシニアと子どもと言っていましたが、もともと全年齢向けにやっていました。僕たちの最大の特徴は、1000円で動画以外が使い放題になる仕組みで、そことチケットを柔軟に組み合わせることができることです。そのために「SiLK Sense」という技術を開発し、アプリごとにチケットを消費するかしないかを、自動で判断できるようにしています。それがいわゆるミニマリストの方、スマホを普通に使えればいいという方にビシッとはまるのだと思います。そういった方々には、(TONE INは)よかったですね。
―― ドコモショップ側もトーンモバイルを売りやすくなるのでしょうか。
石田氏 そうですね。選択肢が多くなるので、そういった部分もあると思います。トーンモバイルは指名買いが多いのですが、予約してから抜け落ちる割合も下がると思います。今でも予約した後に購買する率は高いのですが、それでも端末をどうしようかと思った人がまれに契約しないことがあります。
―― 「ここに置いてあるものならどれでも使えます」というのであれば、端末を見てやっぱりドコモで、となる人は減りそうですね。
石田氏 その方が、彼ら(ドコモショップ)の売り上げにもなります。また、これまでは購入いただいた後、こちらから端末をお送りしていましたが、ドコモ端末であればその日から使えます。いつでもカエドキプログラムも使えますからね。
ドコモがirumoを始めたことの影響はほとんど出ていない
―― 一方で、ドコモ自身で低料金のirumoを始めて、エコノミーMVNOのハシゴが外されてしまった印象もあります。その影響は何かありましたか。
石田氏 もともと莫大(ばくだい)な数のユーザーを取っていたわけではないのと、低料金を求める人を取っていたわけではありません。料金でいえば、OCN モバイル ONEの方が安かったですからね。ターゲットを子どもとシニアにしましょうという形で、ドコモとも進めていました。その2つの理由から、影響はほとんど出ていません。
―― 確かにドコモにはキッズケータイはありますが、子ども向けのスマホやキッズケータイを卒業した人向けのサービスはないような気がします。この辺りはきちんと住み分けられているのでしょうか。
石田氏 ドコモの商品企画の方とはお会いする機会もあり、お互いの技術で何ができるのかといったことはお話ししています。そういった交流に加えて、CMなどの空中戦をやられている部隊や、地上戦の代理店営業をやられている方々ともお付き合いがあります。ここについては、いろいろと情報提供をしてもらいながら、一緒に売っているようなイメージです。
―― ドコモ端末で使えるようになったことで、年齢層が広がるというお話もありましたが、そうなるとドコモとのバッティングも起こってしまうのではないでしょうか。
石田氏 マーケティング的なところではシニア、子どもと言っていた、ミドル世代に売っているのは店舗の判断です。(CMなどの)空中戦としては今までと同じメッセージを出しつつ、店舗でも獲得するという形ができてきています。
―― 気付く人は気付くという形ですね。端末の在庫や売れ行きを気にしなくてよくなった分、CMなどで攻勢をかけやすくなったような気もしますが、その辺はいかがですか。
石田氏 それはあるかもしれません。少なくとも、坂口健太郎さんの契約は更新しました(笑)。
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