「Xperia 1 VI」が大きな変貌を遂げたワケ 実機に触れて感じた「進化」と「足りないところ」(2/3 ページ)
ソニーは5月17日、スマートフォンのハイエンドモデル「Xperia 1 VI(マーク6)」と、ミッドレンジモデル「Xperia 10 VI(マーク6)」の実機を報道関係者に披露。カメラ、ディスプレイ、オーディオのデモンストレーションを行った。Xperia 1 VIの光学7倍ズームや、ディスプレイのアスペクト比など、実機に触れて分かったことをまとめる。
アスペクト比は19.5:9に クリエイターの声を聞いて決めた仕様
ディスプレイはXperia 1 Vから大きく変わった。アスペクト比が19.5:9で、解像度がフルHD+となっている。パネルは有機ELだが、1シリーズ特有だった21:9かつ4K解像度ではなくなったため、クリエイターで意見が分かれるだろう。
ソニーはこれまで1シリーズの初代から5世代目のXperia 1 Vまで一貫して21:9を貫いてきたが、なぜXperia 1 VIでアスペクト比を19.5:9に変更したのだろうか? モバイル事業部長の大島正昭氏によると、19.5:9のアスペクト比は「クリエイターの声を聞いて決めた仕様」で、「ユーザーの要望に応えた」ことを強調した。
クリエイターを重視してきたソニーならではの決断といえるし、撮影専用機材やスマートフォンで制作されるSNSの比率は16:9だけでなく、1:1と正方形もあり、21:9のアスペクト比を持つXperia 1シリーズのディスプレイを十分に生かしきれていなかった。制作ツールとしても視聴デバイスとしても、市場のコンテンツや需要に対応するための変化が求められているようだ。
解像度については4KからフルHD+になったことで、ディスプレイによる消費電力量を抑えられ、電池持ちの向上に寄与する。体験会ではXperia 1 VIとXperia 1 Vを並べて、同じ動画を再生し続けた場合、電池持ちにどの程度の差が出るのかを示すデモが行われた。連続再生時間の差としては10数時間以上だという。
プロダクトデザイナー 八木隆典氏は「ユーザーの体験をより良いものにしていくため」の決断だと前置きした上で、特に注力したところとして、電池持ちを挙げる。Xperia 1シリーズのユーザーの中には、「かなりハードな使い方をする人もいる」とのことで、そうした人でも“電池長持ち”を実感してもらえるようにしたかったようだ。
画質にこだわりを持つソニーとして、Xperiaに磨きをかけていることがある。それは映像美だ。ソニーが「Powered by BRAVIA」と銘打つこの技術は、テレビ「BRAVIA」の画質をXperia 1 VIで再現し、スマートフォンのディスプレイ体験を向上させる。10億色相当の色データをもとに、AI画質調整技術を活用して、高精度にBRAVIAの色彩、質感、立体感を再現している。
再現までの工程はこうだ。まずBRAVIAとXperiaそれぞれの画面色を測定し、そのカラーデータを比較。10億色のカラーテーブルを用いながら画質エンジニアが味付けする。生成したパラメータをXperiaに持たせることで、精緻にBRAVIAの色彩、質感、立体感を再現できる他、静止画と動画でパラメータを分け、コンテンツによって最適な画質を実現する。さらに、工場で出荷前に1台ずつホワイトポイントを調整しており、個体差が出ないようにしているという。
Xperia 1 VIでは画質設定も行える。コンテンツのクリエイターが意図した色調を忠実に再現する「クリエイターモード」、オリジナルの色域を拡張した色で表示する「スタンダードモード」、HDRコンテンツ本来の映像信号や品質を担保する「リアルタイムHDRドライブ」の3つが用意されており、Powered by BRAVIAの技術はスタンダードモードで利用でき、「TVer(ティーバー)」での配信コンテンツを視聴する際に効果があるとしている。
また、Xperia 1 Vにはなかった「サンライトビジョン」という新機能が追加された。画面の区画ごとの階調を調整することで、自然なコントラストとなる。輝度がXperia 1 V比で約1.5倍明るくなり、サンライトビジョンの効果もあり、直射日光下での視認性が上がっているという。
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