スマホの実質負担額、ソフトバンクが最も「分かりにくい」と感じる理由(2/3 ページ)
スマートフォンの価格には「一括価格」と「実質負担額」がある。このうち、実質負担額の表記が分かりづらいキャリアがある。ソフトバンクだ。
「新トクするサポート(プレミアム)」対象機種の価格表記はさらに分かりづらい
最も分かりづらいのは「新トクするサポート(プレミアム)」の対象機種の価格だ。
新トクするサポート(プレミアム)を利用するには、対象機種を48回払いで購入する際、「あんしん保証パック」に加入の上、「早トクオプションの利用料」を支払い、購入から13カ月目以降に特典利用を申し込むなどすれば、最大36回分の対象機種の分割支払金または賦払金の支払いが不要になる。
ここまでの内容はニュースリリースなどに記載されているが、最終的な実質負担額がソフトバンクの製品ページには明記されておらず、こちらも自分で算出しなければならない。
利用条件に含まれているあんしん保証パックだが、機種やシリーズによって、加入できるサービスや利用料が異なる。
例えば、Google Pixel、シャープ製スマートフォン(2021年以降発売機種、法人モデルを除く)、モトローラ製スマートフォン(2023年以降発売機種)、Xiaomi製スマートフォン(2024年以降発売機種)は、月額990円の「あんしん保証パックネクスト」に加入できる。その他のスマートフォン、ソニー製スマートフォンのXperiaなどは、月額715円の「あんしん保証パックプラス」に加入できる。
あんしん保証パックだけでなく、早トクオプションの利用料の1万2100円も別途発生するため、実質負担額に加算して考えた方がいい。
実際、どのような計算式になるのか。シャープ製スマートフォンのハイエンドモデル「AQUOS R9」で確かめたい。
AQUOS R9は1回払いが12万4560円だが、この金額は計算に含めなくてよい。見るべきはその下に記載の3万1824円だ。この金額に早トクオプション利用料の1万2100円と、あんしん保証パックネクスト利用料の1万2870円(月額990円×13回分)を足した5万6794円からオンラインショップ割の2万1984円を引いた3万4810円が、ソフトバンクオンラインショップで購入し、1年後に返却した場合の実質負担額となる。
ドコモは端末補償+早期利用料を加味した実質負担額を明記
このように、ソフトバンクの製品ページでは明確になっていない事項が多いと感じる。
では、他キャリアはどうか。ドコモも、ソフトバンクの新トクするサポート(プレミアム)と同様に、1年後に端末を返却するとお得になる「いつでもカエドキプログラム+」を提供している。
先に一例として挙げたAQUOS R9はドコモでも取り扱っており、いつでもカエドキプログラム+の対象になっている。ドコモオンラインショップを見ると、「一括払い」「いつでもカエドキプログラム+分割払い」「分割払い」という3つの項目がある。一括払いは言うまでもなく1回払いを指す。ドコモのAQUOS R9は11万7040円だ。
約1年後に別の機種に変更する場合は、いつでもカエドキプログラム+分割払いをクリックかタップし、「2:23か月目以外で本機種をご返却する場合」を選択すると、内訳を確認できる。
早期利用料の1万2100円、smartあんしん補償利用料の1万1440円(月額880円×13回分)、1〜12回目までの分割金額の3万2142円、という情報が箇条書きで分かりやすく記載されているため、ソフトバンクのような算出は不要だ。
ソフトバンクの場合、製品ページにオンラインショップでの価格を明記しているが、オンラインショップ割、新トクするサポート(プレミアム)で必要なあんしん保証パックの正確な利用料が明記されていない。AQUOS R9のページにはあんしん保証パックの料金として「月額使用料最大1740〜550円」と明記されているが、どの料金が該当するのかが分からない。早トクオプション利用料は明記されているが、合計金額は算出しておらず、自分で計算する必要がある。
KDDI(au)と楽天モバイルは、1年後に返却した場合に割安な実質負担額となるプログラムを提供していないが、auオンラインショップでは「au Online Shop お得割」、楽天モバイルでは乗り換えを条件とするポイント還元分を引いた金額を製品購入ページに記載している。
auオンラインショップは、「au Online Shop お得割」を加味した金額と、「スマホトクするプログラム」利用時の金額を分けて表記している。ページの内容は「Google Pixel 8 Pro」の金額
ソフトバンクは、なぜオンラインショップ割を引いた実質負担額を製品ページに明記していないのだろうか。オンラインショップ割込みなら、他キャリアよりも安くなるケースもあるかもしれないだけに、もったいないと感じる。特に、ソフトバンクは1年で返却すると実質12円や24円になるなど、お得な施策を打ち出している。もう少し表記を工夫するだけで、魅力的なプログラムの理解促進につながるはずだ。また、新トクするサポート(プレミアム)のあんしん保証パックの料金も、製品ページやオンラインショップに記載してほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
スマホの残債を1年で免除 ドコモの「いつでもカエドキプログラム+」がビジネスとして成立するワケ
ドコモの「いつでもカエドキプログラム+」は、端末を1年利用して返却すると、残債が免除されるプログラム。一方で、ドコモにとっては事実上の下取り価格が高くなる形となる。それでも、ビジネスモデルとして成立するという。
ドコモの「いつでもカエドキプログラム+」は何が変わった? 現行プログラムとの違いを整理
NTTドコモが、2023年9月から新たな端末購入プログラム「いつでもカエドキプログラム+」を提供する。このプログラムでは、1年ごとに機種変更をする人に向けた特典を強化している。現行のプログラムにも1年で機種変更する人向けの特典があるが、何が違うのか?
ハイエンドスマホを毎年格安で機種変更 ソフトバンクの「新トクするサポート(プレミアム)」をオススメできる人、できない人
ソフトバンクは、2024年4月18日に新トクするサポート(プレミアム)の提供を開始しました。高価格のハイスペック機種を1年ごとに買い替えるのにお得なプログラムですが、端末価格以外にも費用がかかるなどの注意点もあります。今回は新トクするサポート(プレミアム)がお得な場合/損する場合や注意点を解説します。
ソフトバンク版iPhone 15 Pro、Pixel 8 Proの一部容量が実質24円(※別途費用あり) 1年で買い替える人向け「新トクするサポート(プレミアム)」の内訳とは
ソフトバンクは2024年4月18日から、「新トクするサポート(プレミアム)」を提供する。新トクするサポート(プレミアム)は、対象機種の分割購入、保証サービスへの加入、返却を条件とし、購入から1年後に端末を買い替える人に向けて訴求する、SoftBankブランド向けの新たな端末購入プログラムだ。ここでは対象機種の実質負担額がいくらなのかをまとめる。【更新】
13万円を切るハイエンド「AQUOS R9」、7月12日に発売 ドコモとソフトバンク、どちらがお得?
NTTドコモとソフトバンクは、シャープ製スマートフォンのハイエンドモデル、「AQUOS R9」を7月12日に発売する。端末の一括価格と、端末の分割購入や一定期間使用後の返却などを条件とする端末購入プログラム適用時の価格が出そろった。AQUOS R9はカメラ機能やディスプレイ性能を強化したことに加え、デザインが現行モデルから大幅に変わったのが大きな特徴。





