圏外でもiPhoneで通報、衛星経由の「緊急SOS」を試す 注意点やデモ体験で分かったこと(1/2 ページ)
iPhone 14とiPhone 15の全てのモデルで、衛星経由の緊急SOSを利用できるようになった。モバイル通信やWi-Fiが圏外の場所でも緊急通報サービスに連絡できる。注意点や使い方を解説する。
iPhone 14とiPhone 15の全てのモデルで、衛星経由の緊急SOSを利用できるようになった。モバイル通信やWi-Fiが圏外の場所でも緊急通報サービスに連絡できる。同日から2年間、またはiPhone 14/15シリーズをアクティベーションしてから2年間無料で利用できる。すでにデモンストレーションを試せるのでその手順を解説する。
なお、日本国内における緊急SOSは、警察(110番)、消防(119番)、海上保安庁(118番)への連絡を意味している。これまでも緊急SOSは利用できたが、モバイル通信サービスを利用できる状態でなければ利用できなかった。
電波の届かない場所や通信障害によって、通信キャリアの電波をつかんで音声通話ができなくなっても、衛星経由で緊急SOSを実行できるようになった、というのが今回のトピックだ。
警察や消防などに衛星経由で連絡する行為について、この記事ではAppleの表現にならって「衛星経由の緊急SOSを実行する」とする。
衛星経由の「緊急SOS」を行う際の注意点
まずは衛星経由の緊急SOSを実行する際の注意点から確認したい。大前提として対応する機種とOSが必要となる。OSのバージョンは国によって異なるが、日本の場合はiOS 17.6以降のiOSを搭載したiPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max、iPhone 15、iPhone 15 Plus、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Maxがあれば利用できる。
さらに、「ヘルスケア」アプリ内の「メディカル ID」を事前に設定しておく必要がある。メディカル IDは緊急時に医療関係者が必要とする持病などの情報をまとめておける項目だ。
なお、衛星は帯域幅が小さく、地球から1000キロ以上離れているが、Appleが独自に設計した部品やソフトウェアにより、大きなアンテナのないiPhone 14とiPhone 15でも、衛星固有の周波数に接続できるという。ただし、衛星経由の緊急SOSを実行する際、「空への視界が開けて、地平線がはっきりと見通せる屋外」にいる必要がある。遮蔽(しゃへい)された家の中や地下では利用できない。
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