圏外でもiPhoneで通報、衛星経由の「緊急SOS」を試す 注意点やデモ体験で分かったこと(2/2 ページ)
iPhone 14とiPhone 15の全てのモデルで、衛星経由の緊急SOSを利用できるようになった。モバイル通信やWi-Fiが圏外の場所でも緊急通報サービスに連絡できる。注意点や使い方を解説する。
実際の手順はどうなのか デモですぐに試せる
では、実際の手順はどうなのか。Appleはニュースリリースでこう説明している。
まず緊急SOSのスライダーが表示されるまで、サイドキーとボリュームキーを長押しする。その後、連絡する緊急機関を選択する。圏外の場合、緊急テキストの送信をするよう指示が出るので、テキストで簡単な質問に答える。回答をする際、画面の指示に従ってiPhoneを空中に向ける。
その後、質問への回答、位置情報、iPhoneのバッテリー残量、メディアカルIDなどの情報が衛星経由で送信される。これらの情報はAppleの衛星中継センターに送られ、専門スタッフが110、118、119の緊急通報機関に連絡をする。Appleが開発したテキスト圧縮アルゴリズムにより、15秒でメッセージを送受信できるという。
これらは実際に試せなくても、デモンストレーションでどのような流れなのかを把握しておける。17.6以降のiOSをインストールしたiPhoneで「設定」アプリを開き、「緊急SOS」という項目を選択した後、下までスクロールすると、「デモを試す」という項目があるので、それをタップすることで試せる。
デモではまず衛星通信接続の概要が表示されるので、試す前によく読んでおくとよい。説明ページの最後まで進むと、「衛星通信接続をテストする」と表示される。これをタップすると「モバイル通信を一時的にオフにしますか?」と聞かれるので、「オフにする」を選択する。デモが始まったら、先にも述べた通り、空が妨げられずに見える場所へ移動しよう。
緊急SOSのデモでは緊急連絡先に必要な情報を伝えるメッセージを送信できる。緊急時に医療関係者が必要とするメディカル IDの送信も試すことが可能だ。ただし、あくまでデモなので、入力した内容が実際に警察や消防などに送信されることはない。
衛星を役立てて命を守る機能 実装は容易ではない
ここまでお伝えしたように、衛星経由の緊急SOSを実行できるiPhoneの機種とiOSのバージョンは限られているが、それでも実際に近い体験ができるデモが用意されているのは素晴らしい。初めて使う人の立場になって考えられている証だといえる。
AppleはこれまでにApple Watchで心臓の異常を見抜く機能や、iPhoneで転倒・自動車事故を検出して持ち主に通知し、助けを呼んでくれる機能をリリースしてきた。衛星経由でのメッセージ送信はそれらに続く命を救うような機能といえる。
衛星とiPhoneが通信できないような環境、例えば、地下や自宅内では利用困難だが、衛星との通信さえできる環境なら、iPhoneが圏外でも利用できる優れものだ。キャンプ地や大規模イベントなどの開けた場所でも試せそうなので、夏の行楽地へ行く前にアップデートしておくとよさそうだ。
なお、この手の機能はApple製品に技術を搭載すれば済むわけではなく、その技術や機能に関連する(国ごとの)機関との調整が必要となるため、実装はそう簡単ではない。Apple WatchやiPhoneの機能そのものも素晴らしいが、Appleがそうした苦労を乗り越え、“形”にする姿勢には驚かされる。
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