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ソフトバンクがAndroidスマホの単体販売を終了した理由 「法的に問題ない」背景も考える(1/2 ページ)

ソフトバンクが8月1日からAndroidスマートフォンの単体販売を終了した。同社は「市場環境や販売戦略」を理由に挙げるが、何が変わったのか。単体販売をやめることは法的には問題ないが、その背景も考える。

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 ソフトバンクが8月1日からAndroidスマートフォンの単体販売をやめ、現在はiPhoneとiPadしか選択できなくなっている。ソフトバンクは「市場環境や販売戦略」を理由に挙げるが、なぜ戦略が変わったのか。また、単体販売をやめることは電気通信事業法上、問題ないのか。過去の事例や市場環境を踏まえて考えたい。

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2024年8月1日から、ソフトバンクはオンラインショップと店頭ともにAndroidスマートフォンの単体販売を終了した(今後の予定は未定)

単体販売は規制対象外だったので過度な割引が可能に

 まず、ソフトバンクをはじめとする携帯キャリアが端末の単体販売を行っていた(行っている)背景をおさらいする。「通信料金と端末代金の完全分離」「行き過ぎた囲い込みの是正」を目的として2019年10月に改正された電気通信事業法により、端末の値引きは2万2000円(税込み、以下同)までに制限された。これでは高額な端末はほとんど割引できなくなり、ユーザーに負担を強いることになる。そこで各社が考えたのが、回線契約を条件としない端末の単体販売だ。

 2万2000円までの割引規制は、回線契約がセットの場合であり、回線契約の伴わない単体販売(白ロム)は規制の対象外だった。ユーザーが端末を36回払いや48回払いで購入し、所定のタイミングで返却すると、残りの支払いを免除する購入プログラムを各社は導入しているが、単体販売もこのプログラムの対象とした。これにより、支払い免除額が2万2000円を超えても違反にならず、大幅な割引が可能になった。機種によっては2年間、実質1円で運用できるケースもあった。

 しかし、こうした過度な割引によってユーザー間で不公平が生じたり、安価に端末を購入してより高値で転売する「転売ヤー」問題が発生したりするなど、新たな問題が生まれた。そこで総務省は、白ロムも割引の規制対象に加え、割引の上限を4万4000円までとする改正案を出し、2023年12月の法令改正で正式に施行された

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単体販売を口実とした過度な割引が横行したため、白ロムも割引規制の対象となった

2023年末の法令改正をきっかけに端末単体販売は不要に

 ソフトバンクがAndroidスマートフォンの単体販売をやめたのは、実はこの法令改正が関係している。法令改正前は、割引規制対象外の単体販売も含めて、大幅な支払い免除を可能にしていたが、仮に単体販売を拒否すると、2万2000円を超える割引は回線契約者にしか提供しないことになり、「回線契約とセットの端末割引は2万2000円まで」のルールに違反してしまう。通信料収入を得られないため、キャリアが端末の単体販売をするメリットはほぼないが、2万2000円を超える割引をするために、やむを得ず実施していたというのが実情だ。

 こうした状況下において、店頭で端末の単体販売が拒否された事例は不適切な行為と見なされ、総務省が開設した「携帯電話販売代理店に関する情報提供窓口」にたびたび通報された。2021年9月から2022年2月末まで、この窓口に寄せられた通報701件のうち、394件が「通信料金と端末代金の完全分離」違反に関するもので、その中には「端末の単体販売拒否」が含まれていた。

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総務省が2022年3月に発表した「総務省情報提供窓口に寄せられている電気通信事業法第27条の3関係の通報の状況」によると、半数以上が通信と端末の分離の違反に関するものだった

 この事例だけを見ると、「端末の単体販売を行わないのはルール違反では?」と思われるかもしれない。しかし2023年12月の法令改正以降は、回線契約とセットの場合でも端末単体販売の場合でも、割引の上限は4万4000円までになったので、単体販売をやめたからといって割引の上限をオーバーするわけではなく、違反にはならない。

 「通信料金と端末代金の完全分離」の理念に反するようにも思えるかもしれないが、この完全分離の趣旨は「通信サービスの継続利用を条件とする端末割引を禁止すること」と「通信契約の継続利用を条件としない端末割引を制限すること」にあり、端末の単体販売を義務化しているわけではない。ちなみに、ドコモ、au、ソフトバンクの端末購入プログラムは、キャリアを解約した後でも特典(残債免除)を利用できるので、「通信サービスの継続利用を条件とする端末割引」には抵触しない。

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