携帯電話番号って「3桁+4桁+4桁」だと思っていました? 実は違うかもしれません:ふぉーんなハナシ
携帯電話番号って「3桁+4桁+4桁」で案内されたり表示されたりしますよね。実は厳密に見ると「3桁+3桁+5桁」だって知ってました……?
先日、携帯電話番号に「060」から始まる番号が加わる方向であることをお伝えしました。
多くの携帯電話/スマートフォンでは、日本の携帯電話番号は「XXX-XXXX-XXXX」という感じで3桁+4桁+4桁で表示されますが、厳密には正しくないかもしれないこと、ご存じでしたか……?
携帯電話番号の推移を振り返る(おさらい)
以前の記事でも触れましたが、携帯電話(自動車電話)に割り振られる携帯電話番号(音声伝送携帯電話番号)は、以下のような歴史をたどってきました。
- 1979年:030+2桁+5桁
- 「030」は自動車電話宛であることを示す
- 次の2桁は自動車電話が所在する都道府県を指定する
- 最後の5桁は加入者識別番号
- 1986年:030/040+2桁+5桁
- 加入者の増加に伴い、携帯/自動車電話宛であることを示す番号に「040」を追加
- その他の意味合いに変わりなし
- 1988年:030/040+2桁+5桁
- 先頭の「030」「040」は携帯/自動車電話宛であることを示すと同時に、距離を識別する番号となった
- 「030」は160km以下、「040」は160km超の通話先に使う(都道府県単位ではない)
- 次の2桁は携帯/自動車電話事業者を識別する番号
- 最後の5桁は加入者識別番号
- 先頭の「030」「040」は携帯/自動車電話宛であることを示すと同時に、距離を識別する番号となった
- 1996年1月:030/040/080/090+2桁+5桁
- 加入者の増加の伴い、160km以下の識別番号に「080」、160km超の識別番号に「090」を追加
- その他の意味合いに変わりなし
- 1996年9月:010/020/030/040/080/090+2桁+5桁
- 距離識別制度が廃止され、冒頭の3桁は携帯/自動車電話番号宛であることを示す番号に変化
- 次の2桁は携帯/自動車電話事業者を識別する番号
- 最後の5桁は加入者識別番号
- 1999年1月:090+3桁+5桁
- 「090」は携帯/自動車電話宛であることを示す番号
- 携帯/自動車電話事業者を識別する番号が2桁から3桁に増加
- 従来の携帯/自動車電話番号は「010→090-1」「020→090-2」「030→090-3」「040→090-4」「080→090-8」「090→090-9」にそれぞれ変換して対応
- 最後の5桁は加入者識別番号
- 2002年3月:080/090+3桁+5桁
- 契約者数増加に伴い、携帯/自動車電話宛であることを示す番号に「080」を追加
- その他の意味合いに変わりなし
- 2013年11月:070/080/090+3桁+5桁
- 契約者数増加に伴い、携帯電話宛であることを示す番号に「070」を追加
- ただし、PHSに割り当て済みの「070-5」「070-6」は除く
- 契約者数増加に伴い、携帯電話宛であることを示す番号に「070」を追加
- 2014年10月:070/080/090+3桁+5桁
- 携帯電話向けのMNP制度にPHSも参加
- 「070-5」「070-6」で始まる番号も携帯電話で利用可能に
- 「080」「090」で始まる番号もPHSで利用可能に
- 携帯電話向けのMNP制度にPHSも参加
こんな感じです。
1994年8月時点の携帯/自動車電話番号の割り当て状況。日本移動通信、セルラーグループとツーカーグループは現在のKDDI(沖縄セルラー電話のみ別法人として現存)、デジタルホングループは現在のソフトバンクです(出典:NTTドコモ「ドコモテクニカルジャーナル Vol.2 Vol.3」)
厳密な携帯電話番号は「3桁+3桁+5桁」という区分け
こうして歴史を振り返ってみると、1979年に日本電信電話公社(現在のNTT)が自動車電話サービスを始めて以来、携帯電話(自動車電話)の加入者を識別する番号は下5桁で変わりありません。つまり、携帯電話番号を“厳密に”書こうとすると、以下のような区切り方となります。
それぞれの部分を具体的に見ると、こんな感じです。
- 冒頭の3桁:携帯電話であることを示す番号
- 真ん中の3桁:携帯電話事業者を識別する番号
- 最後の5桁:加入者(ユーザー)を識別する番号
電気通信番号を管理する総務省は、冒頭の3桁と真ん中の3桁を“ひとまとめ”にして携帯電話事業者に割り当てています。一方、最後の5桁は事業者の責任で加入者(ユーザー)に割り当てます。最後の5桁は「00000」から「99999」まであるので、理論上は1つの割り当て枠で最大10万回線まで対応可能です。
楽天モバイルを除く携帯電話事業者(MNO)はかつて、地域ごとに事業会社を分けていました(au/UQ mobile/povoについては、現在も沖縄県だけ別会社です)。その名残で、分社当時に割り当てられた番号は、「真ん中の3桁」をもとに“契約地域”を絞り込める場合があります。
このことを生かして、以前は電話番号の真ん中の3桁を使って地域の“推定”をする世論調査や営業電話もありました。しかし、現在は基本的に全国1社なので真ん中3桁での地域推定は困難です。ゆえに、今では真ん中3桁による地域推定はほとんど行われていません(どうしても地域を特定したい場合は、住所の一部か郵便番号を聞き取ったり入力させたりします)。
2024年9月現在において、「080」と「090」で始まる番号の割り当ては既に終了しており、「070」で始まる番号の未割り当て分は530万個(=53枠)です。電気通信事業法の改正により、現在は自ら回線ネットワークを持たない携帯電話事業者(=MVNO)にも“直接”携帯電話番号を割り当てられるようになったため(参考記事)、場合によってはあっという間に“番号不足”となる恐れもあります。
ゆえに、総務省は「電気通信番号規則」を改めることで「060」で始まる番号も携帯電話番号として使えるように手続きを進めているのです。ただ、規則の改正が施行されてすぐに「060」で始まる番号が携帯電話で出てくるわけではなく、事業者に割り当てられて初めて出てきます。
ただ、実際に「3桁+3桁+5桁」という番号を見ると、何となくバランスが悪く見えてしまうんですよね……。実際に番号を出す際は「3桁+4桁+4桁」の方が収まりが良いですし、実際にそうなっています。
他の電話番号の区切り方
せっかくなので、他の主な電話番号の“区切り方”を紹介します。
固定電話/光IP電話
固定電話や光IP電話(モバイル回線を使う固定電話を含む)の電話番号は10桁で、番号の区切り方は以下の通りです(冒頭の「0」を含む、以下同)。
- 冒頭の2〜5桁:市外局番(番号区画/単位料金区域を識別、※1)
- 真ん中の1〜4桁:市内局番(通信事業者を識別する番号を兼ねる、※1)
- 最後の4桁:加入者(ユーザー)を識別する番号
(※1)同じ市外局番で複数の番号区画/単位料金区域が存在する場合は、市内局番の冒頭1〜2桁も番号区画/単位料金区域の識別に使われる
特定IP電話
「050」で始まる電話番号を持つ「特定IP電話」は11桁で、番号の区切り方は以下の通りです。
- 冒頭の「050」:特定IP電話であることを示す番号
- 真ん中の4桁:通信事業者を識別する番号
- 最後の4桁:加入者(ユーザー)を識別する番号
なお、特定IP電話は通話先の地域や場所を特定する機能を備えないため、電話番号で所在地域の絞り込みは不可能です。
着信課金機能/統一番号機能
「0120」または「0800」で始まる電話番号は「着信課金機能」(通話料金を着信側が負担するサービス)用、「0570」で始まる電話番号は「統一番号機能」(市外局番を問わず電話番号をそろえるサービス)用とされています。その番号の区切り方は、以下の通りです。
- 「0120」で始まる番号(10桁)
- 冒頭の「0120」:着信課金であることを示す番号
- 真ん中の3桁:通信事業者を識別する番号
- 最後の3桁:加入者(ユーザー)を識別する番号
- 「0800」で始まる番号(11桁)
- 冒頭の「0800」:着信課金であることを示す番号
- 真ん中の3桁:通信事業者を識別する番号
- 最後の4桁:加入者(ユーザー)を識別する番号
- 「0570」で始まる番号
- 冒頭の「0570」:統一番号サービスであることを示す番号
- 真ん中の3桁:通信事業者を識別する番号
- 最後の3桁:加入者(ユーザー)を識別する番号
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