au Starlink Directの通信品質が改善したワケ 競合キャリアを大きくリード、データ通信は間もなく?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
KDDIは、4月にサービスを開始した「au Starlink Direct」の通信品質を向上させたことを発表した。合わせて、同サービスへの接続者数が7月10日時点で100万人を突破したことも明かしている。2025年夏に開始するとしている衛星経由のデータ通信も、この通信品質改善の延長線上にある。
すぐにつながりSMS送信も一瞬に、より使い勝手が増したau Starlink Direct
この改善が、実際にどの程度効いてきたのか。KDDIの案内で、茨城県高萩市の「大和の森 高萩スカウトフィールド」に行き、実際にau Starlink Directを使ってみた。この場所は、全4キャリア中3キャリアの電波が届いておらず、圏外になる。地上の基地局と通信できたのはソフトバンクのみ。ドコモやKDDI、楽天モバイルは近くに基地局がなく、通信ができなかった(楽天モバイルはローミングだったことも付け加えておきたい)。
圏外になったところで、iPhone 16 ProのeSIMをau Starlink Direct専用プランに入れ替えてみたが、すぐにStarlinkをつかみ、アンテナピクトが「衛星」に変わった。空がしっかり見えていて木などの遮蔽(しゃへい)物がなかったためか、接続は至ってスムーズ。端末を空に向けているとはもちろんだが、ポケットに入れていてもSMSを受信できていた。その意味では、地上のネットワークと使い方が大きく変わるわけではない。
続いてこのiPhoneからSMSを送信してみたところ、一瞬で送信が完了した。感覚として、普段、地上の基地局につながっているときと大きな違いはなかった。KDDIはバッファーを取って30秒と説明していたが、環境がよければよりスピーディーに送信できるようだ。短いメッセージに加えて、シンプルAIチャットも利用してみたが、こちらも送信後、少し待っただけで結果が送られてきた。
その間、圏外になることはなく、安定性が向上している様子を確認できた。デモ用の端末として用意されていたAndroidスマホでも同様で、SMSのやりとりができた他、Gemini in Googleメッセージを使った回答もすぐに返ってきた。SMSやiMessage、RCSしか利用できないものの、メッセージ経由で生成AIにつながることで、その用途が広がっている印象を受けた。制限のある通信にマッチしたコンテンツをリンクさせるのは、キャリアの十八番。フィーチャーフォン時代のサービス設計をほうふつとさせる。
ただし、衛星につながった状態にもかかわらず、SMSの送信が終わらないことが何回かあった。この事象は、iPhone、Androidの両方で発生した。このような状態になると、いくらSMSを送り直しても送信ができなかった。フライトモードに切り替え、再び直接通信を始めたところトラブルは解消できたが、地上のネットワークほどの高い安定性がないこともうかがえた。
写真はiPhoneでシンプルAIチャットを使っているところだが、1問目への回答が送られてこなかった。続けて2問目を送信したが、いつまでたっても完了せず、エラーになってしまった。これを解消にするには、フライトモードへの切り替えが必要になった
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