東京メトロ全線でクレカタッチ乗車、26年春から 直通「JR・私鉄」路線での利用は可能? 広報に聞いた
東京地下鉄は2026年春から、東京メトロ全線でタッチ決済による後払い乗車サービスを開始する。クレジットカードやデビットカード、プリペイドカード、あるいはそれらのカードが設定されたスマートフォンなどを自動改札機にかざすだけで、事前に乗車券を購入せずに東京メトロ全線を利用可能に。他社路線を介してもタッチ決済乗車は可能なのかを広報に聞いた。
東京地下鉄は2026年春から、東京メトロ全線でタッチ決済による後払い乗車サービスを開始すると発表した。これにより、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカード、あるいはそれらのカードが設定されたスマートフォンなどを自動改札機にかざすだけで、事前に乗車券を購入せずに東京メトロ全線を利用できるようになる。
同社広報は、「2023年8月に行った実証実験や、2025年3月に開始した一部サービスの利用状況、そして利用客のニーズを踏まえ、2026年春に全線でクレジットカードのタッチ決済を導入することを決定した」と、導入決定に至るまでの経緯と意図を説明した。実証実験後の「詳細な検討状況」については言及を控えたが、「これまでの利用状況とニーズを総合的に判断した結果だ」とした。
サービス開始日や詳細については、決定次第改めて告知するとしている。
直通の「JR・私鉄」を介してもタッチ決済乗車できる? 広報に聞いた
東京メトロの一部路線は、JRや私鉄など他社路線と乗り入れているが、他社路線を介してもタッチ決済乗車は可能だろうか。
東京地下鉄広報は、「現時点では、東京メトロの駅で入場し、他社の路線の駅で出場する際(またはその逆)に、クレジットカードのタッチ決済は利用できない」と回答した。例えば、東京メトロ千代田線の駅で入場し、小田急線の駅で出場するといったケースでは、このタッチ決済乗車は利用できない。
一方で、東京メトロ線内であれば、「入場時と出場時で異なる路線を利用しても問題ない」としている。例えば、千代田線の駅で入場し、銀座線の駅で出場するような場合なら、タッチ決済乗車が可能だ。
2026年春から、東京メトロ全線でタッチ決済による後払い乗車サービスを利用できる。ただし、「現時点では、東京メトロの駅で入場し、他社の路線の駅で出場する際(またはその逆)に、クレジットカードのタッチ決済は利用できない」という
三井住友カードの公共交通機関向けソリューション「stera transit」を活用
タッチ決済による後払い乗車サービスに活用するのは、三井住友カードの公共交通機関向けソリューション「stera transit」だ。これは、三井住友カードがGMOペイメントゲートウェイ、GMOフィナンシャルゲート、Visaと共同で構築した事業者向け決済プラットフォーム「stera」の技術を応用したもの。現金や事前チャージが不要となる消費者の利便性向上に加え、感染症予防対策やインバウンド受け入れ環境の整備、地域のキャッシュレス決済促進など、幅広い効果が期待されているという。
タッチ決済とQRコードを活用した乗車サービス、具体的に何駅で利用可能?
東京地下鉄では、タッチ決済とQRコードを活用した乗車サービスに対応する自動改札機の設置も順次進めている。2025年6月には26駅に設置し、全180駅中104駅で対応済みだ。同社は、2025年度中の全駅設置(他社への管理委託駅を除く)を目指し、引き続き設置駅数を拡大するとしている。最新の設置状況は同社Webサイトで確認できる。
今後はより便利でスムーズな乗車サービスを提供していく方針
今後も同社は、交通系ICカードを主軸としつつ、日頃の利用者や国内外からの訪問客に対し、より便利でスムーズな乗車サービスを提供していく方針で、交通系ICカードが引き続き主要な決済手段であることを強調しつつも、今回のタッチ決済導入のように多様な利用ニーズに合わせてそれ以外の決済サービスにも対応していく姿勢を示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
東京メトロが「タッチ決済」「QRコード」乗車サービスの実証実験を実施 2024年度中から
三井住友カードらは、2024年度中に東京メトロ線内でクレジットカードのタッチ決済/QRコードを活用した乗車サービスの実証実験を開始。三井住友カードの公共交通向けソリューション「stera transit」を利用する。
圏外でもスマホ決済を利用するには? 「オフライン決済」に対応しているサービスまとめ
バーコードを表示させるだけで決済ができるスマホ決済は、電波状況が悪い場所やイベント会場のように回線が混雑する環境では、決済が行えないこともあります。一部のコード決済はオフライン決済に対応していますが、制限はあります。そこで、各スマホ決済サービスのオフライン対応についてまとめてみました。
指輪で電車に乗れる ドコモ「EVERING」から見える“クレカ×タッチ決済”の現在地
ドコモがプリペイド式スマートリング「EVERING」を発売した。指輪型のVisaプリペイドカードのようなもので、7月にはタッチ決済に対応した電車やバスにも乗れるようになった。今回はEVERINGを実際に使用してみて、その魅力を紹介する。
クレカのタッチ決済、沖縄唯一の鉄道「ゆいレール」が導入 3月28日から
沖縄唯一の鉄道「ゆいレール」がクレジットカードなどのタッチ決済に対応する。対応予定日は3月28日。クレジットカードなどのタッチ決済や、同カード設定済みのスマートフォンで、改札を通過できるようになる。
iPhoneやApple Watchで「タッチ決済」を使う方法 どういうメリットがある?
最近よく耳にする「タッチ決済」。コンビニエンスストアを中心に使える場所も増えていますが、どうやって使い始めればいいのでしょうか。iPhoneやApple Watchの場合の使い方や注意点を紹介します。
日本で“クレカのタッチ決済で乗車”は定着するか メリットと課題を整理する
三井住友カードの決済プラットフォーム「stera」を公共交通機関向けに提供した「stera transit」。クレジットカードをリーダーにタッチして電車やバスなどに乗り、さらにタッチして降りる、といった従来通りの手順で交通機関を利用できるようになる。Suicaではタッチから0.2秒以内に処理が完結することが必要とされているが、stera transitも高速処理の工夫を施している。
江ノ島電鉄の「タッチ決済」乗車は4月15日から全駅で Visaなど5ブランドに対応
江ノ島電鉄などが予告していた「タッチ(EMVコンタクトレス)決済」による乗車サービスの提供が4月15日からから始まることになった。サービス開始当初はVisa、JCBなど5ブランドのタッチ決済対応カードで利用できるが、Mastercardと銀聯のタッチ決済には後日対応となる。
