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「arrows Alpha」開発者インタビュー 再定義した“ハイエンド”の中身、「強さ」「安心」に込めた思い(2/3 ページ)

FCNTは、近年価格が高騰するハイエンドスマートフォンを再定義し、定着を図ろうとしている。8月28日、8万円台を実現した「arrows Alpha」を発売する。arrows Alphaのタフさやハイエンドの定義など、気になる疑問についてインタビューした。

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「arrows=強い」というイメージが伝わっていない

―― 過酷な環境でスマートフォンを使うユーザー層は多いのでしょうか。

外谷氏 ユースケースはさまざまですが、購入される際に、防水性能や「落としても壊れない」といったタフネスを、購入動機の上位に考えられるお客さまは非常に多いです。使い続けていただいているお客さまからは、ヒヤッとするシーンで画面が割れなかったといったお声もいただき、それが強い信頼感や安心感につながり、「次もarrowsに」と考えていただけることがあります。

―― 「arrows=強い」というイメージは定着しているのでしょうか。

外谷氏 正直に言うと、全体的にはまだ強さが伝わっていないと思います。一部のarrowsユーザーや買い替えのお客さまにはご理解いただいていますが、まだまだわれわれの努力不足で伝わっていない部分があります。そのため、今回の発表会でもお伝えしましたが、高さ1.5mから26方向でコンクリートに落としても画面が割れない独自試験をクリアしており、これは現在、一般的に販売されているスマートフォンでは他にはありません。10mm以下のスマートフォンの中では、世界最高峰の堅牢性を実現していると自負しています。このような内容については改めてarrowsの強みとして今後しっかりお伝えしたいです。

arrowsAlpha FCNT 開発者 開発陣 インタビュー
プロダクトビジネス本部 プロダクトマーケティング統括部 副統括部長 正能由紀氏

正能氏 本当に過酷なシーンで使うからその強さが欲しいという方は少数で、多くの方はスマートフォンを長く使うからこそ、あらかじめ「強いもの」が欲しいというニーズが強いです。安心のために強いスマホが欲しいという方が多いです。

外谷氏 あとは、われわれの課題として「そもそもarrowsを知らなかった」「どういうブランドなの?」という点があります。そこに対して、arrowsのブランドイメージを作っていく上で、この「強さ」というユニークな部分を分かりやすく伝えていくことが、われわれのファーストステップとして重要だと考えています。

―― CMなどでは伝えていくのでしょうか。

外谷氏 お客さまに評価いただける商品を作っていくのと、それを分かりやすく伝えていきたい考えがある中で、堅牢性は1つのキーワードになると思います。今回はタレントを使わずに発信します。タレントを使ってしまうと、タレントさんのCMになってしまうので、arrowsブランドを覚えてもらうことを考えると、あえてarrowsの強さだけを伝えることにしました。

プロセッサの性能だけでハイエンドとは定義しない

―― 今回MediaTekの「Dimensity 8350 Extreme」を搭載していますが、このプロセッサを採用した狙いは何でしょうか。

外谷氏 いくつかあるのですが、1つはオンデバイスでAIが動くパフォーマンスが担保されているかという点。次に、われわれがやりたいチューニングに対して「融通が利くか」という点、そしてコスト。これらの観点を加味した中で、グローバルにも日本にも通用する、ベストなバランスだと判断しました。

―― この構成で「ハイエンド」とうたう理由を教えてください。

外谷氏 われわれはチップセットの性能だけでハイエンドと定義しておらず、トータルの体験価値を重視しています。オンデバイスAIが動く体験は、中長期的に見て重要な価値だと考えており、チップセットの性能、RAM・ROMの構成(DDR5X、UFS 4.0)などで最大限引き出せる性能を加味した上で、お客さまの求める「ハイエンドとしての体験」が実現できると考えています。

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プロセッサには、Lenovoグループ限定の「Dimensity 8350 Extreme」を採用した。通常のDimensity 8350と比べると稼働クロックが高められており、FCNTでは「arrowsスマートフォンとしては過去最高性能」とうたう

―― AIの処理方法はオンデバイスですか、クラウドですか。

外谷氏 AIの種類が多岐にわたるので一概には言えませんが、オンデバイスで動くものもあれば、クラウド単体のもの、今後に向けてはオンデバイスとクラウド両方を使うものもあります。

―― arrows Alphaでは、新たに「arrows AI」を搭載しています。このarrows AIは、どのような位置付けなのでしょうか。

正能氏 arrows AIの中には、主にカメラの画質を向上させるAIと、arrowsをより使いやすくするためのAIの、大きく分けて2種類があります。ただ、われわれはarrows AIだけを使ってほしいわけではなく、ユーザーの方が世の中の便利なAIを使いこなせるようにしたいという思いがあります。Google Geminiや他のAIも含め、ユーザーに適したAIを使っていただけるように、その入り口としての役割も担いたいと考えています。

―― arrows AIの実装で工夫したところはありますか?

相合氏 従来のロジックでは、やりたいことを自然言語で入力した際にアクションを特定するAIの判定精度が出ませんでしたが、日本語に特化した細かいアルゴリズムの調整をすることで、この精度を高めています。また、平易な言い回しや具体的な使い方を想起させる説明を用いて、AIを使い慣れていない人でも分かりやすいようにUI上の配慮を行っています。自然言語で機能や設定を呼び出す部分で、こちらの自然言語の意味を読み取り、期待通りの機能や設定を呼び出す精度の向上につながったと思っています。

―― アクションキーを搭載した意図は何でしょうか。

外谷氏 AI機能としてGeminiは非常にポピュラーですが、起動方法が電源長押しだと、従来の電源オフや再起動をしたいユーザーにとっては分かりにくい。ユーザビリティとして良くないと考え、専用のキーを設けました。

正能氏 単押し・長押し・ダブルクリックの3つに機能を割り当てられ、AIだけでなく、よく使う機能をショートカットで起動できるようにしています。

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サイドフレームに設けられたアクションキー。任意の機能を割り当てることで、すぐに機能を呼び出せる

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