「Xperia 10 VII」レビュー:「即撮りボタン」搭載のカメラや新デザインで“積極的に選べる”完成度に 不満点は?(1/3 ページ)
約168gの軽量ボディに物理シャッターボタンを初搭載したXperia 10 VII。親指がちょうど届く絶妙な配置で、縦持ちのままワンタッチスクリーンショットが可能になり、1秒以内のカメラ起動で決定的瞬間を逃さない。ミドルレンジながらも妥協のない完成度で日常の撮影体験が劇的に向上する。
10月9日に発売された、ソニーの「Xperia 10 VII」をレビューする。8万円以下で購入できるミドルレンジスマートフォンで、シリーズ初となる物理シャッターボタン「即撮りボタン」を搭載する。
本体は約168gの軽量設計で、マット仕上げの背面は上質な手触りだ。5000mAhバッテリーは公称通り2日間使用でき、実測では3時間程度の利用で40%残る余裕があった。
試用期間を通じて感じたのは、妥協の産物ではなく積極的に選べる完成度の高さだった。即撮りボタンで確実に撮れる点、洗練されたデザイン、安定した動作は、ミドルレンジとして十分満足できる。
ソニー公式のSIMフリーモデルとしての販売価格は7万4800円となる。キャリアではNTTドコモ、au、ソフトバンクが取り扱う。MVNOではIIJmio、mineo、QTモバイルなども扱う。
ロゴは彫り込み、マット仕上げの上質な質感
本体サイズは約72(幅)×153(高さ)×8.3(奥行き)mm、重量は約168g。軽いので片手でも楽に扱えるし、長時間持っていても疲れない。
背面はさらさらとした質感で、指紋が目立たない。カメラ周りまできれいに処理され、背面と側面フレームの質感がそろった、まとまりのあるデザインだと感じた。背面カメラレンズは従来の縦配置から横レイアウトに変更されたため、机に置いたときに傾くことがなくなる
右側面の電源キーには指紋センサーが統合されており、ロック解除はスムーズだった。その下にある即撮りボタンと合わせ、右手の親指が自然に届く位置に操作系がまとまっている。
背面カメラ部のソニーロゴや、左側面のXperiaロゴは印刷ではなく彫り込みで、触ってもその質の高さが分かる。
IPX5/IPX8の防水性能と、IP6Xの防塵(じん)性能を備え、ディスプレイガラスにはGorilla Glass Victus 2を採用している。おサイフケータイにも対応する。カラーはチャコールブラック、ホワイト、ターコイズの3色展開で、全てマット仕上げとなる。
親指がちょうど届く位置にある即撮りボタン
Xperia 10シリーズで初めて搭載された物理シャッターボタン「即撮りボタン」は、本体右側面の電源キー下に配置されている。縦持ちした際、右手の親指がちょうど触れる位置にあり、持ち替えずに操作できる。
短押しでスクリーンショットが撮れるのがありがたい。従来は電源キーとボリュームキーの同時押しが必要で、片手操作時には本体を持ち替える必要があった。即撮りボタンならワンタッチで完結する。カメラ起動は長押しするだけとシンプルで、ロック画面からでも1秒以内に起動した。
横向きでシャッターボタンとして使う場合、親指を少し伸ばす必要があるが、人差し指で押すとちょうどよい位置にある。
半押しでAFロックする機能は搭載していないため、本格的な「シャッターボタン」というよりは、素早く撮ることを重視した作りといえる。
ろうそくの炎までしっかり写るカメラ
カメラはデュアル構成で、広角5000万画素(1/1.56型センサー)と超広角1300万画素(1/3型センサー)を搭載する。メインセンサーは前機種比1.6倍に大型化し、暗い場所でもよく写るようになった。
超広角0.7倍から最大6倍まで多段階でズーム撮影でき、建物全景から屋根の装飾まで柔軟に撮れる。標準域での画質は十分だが、曇天下では撮影ごとにホワイトバランスが変わり、建物の黄色が濃くなったり淡くなったりする。最大6倍のデジタルズームでは、ディテールがやや甘くなるものの、記録用としては使える。
紅葉で埋まった池を撮影した際は、水面への映り込みが鮮明に写り、曇天の空の白飛びを抑えつつ、暗部の落ち葉もしっかり再現された。HDR処理のバランスが良く、見た目に近い自然な仕上がりになった。
ろうそく明かりだけの薄暗いレストランで撮影したところ、何度か試行錯誤したものの、炎の色や店内の雰囲気がきちんと写った。
プレビュー画面では暗く見えるが、撮影すると複数枚を重ねてノイズを減らした明るい写真に仕上がる。ハイエンドモデルのようなリアルタイムプレビューはないが、結果的にはしっかり撮れる。
明るい照明下では、パスタ料理の質感やチーズの削りかす、散らしたハーブの緑まで細かく再現できた。
「ぼけ」モードは背景を自然にぼかせる。彫像と紅葉を撮影したところ、切り抜き感のない自然な仕上がりになった。被写体の認識精度が高く、境界部分の不自然さはほぼない。
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