「dカード GOLD」に見る“Amazonプライム的”な顧客獲得手法 ドコモ経済圏の粘着性を読み解く(2/2 ページ)
MMDLabo(MMD研究所)は2月17日に「ポイント経済圏の最新調査データ勉強会」を開催。MMD研究所の吉本浩司氏は、ポイント経済圏の競争軸が「入口」の広さから、ユーザーをいかに離脱させないかという「定着」の段階へ移行したと語る。ドコモ経済圏はdカードの上位化を戦略の核に据えており、通信と連携した高い還元率や手厚い端末保証により、実質的な会員制度として機能している。
経済圏に健康管理が関係? ドコモ経済圏の成長には何が必要か
吉本氏は今後の展望として、経済圏の競争が「人生の生活の中でいかに密着した仕組みを作り出すか」という、ライフステージの戦いに移行すると述べている。具体的には、ヘルスケアの領域などを各社が強化し、健康管理とポイントを組み合わせて、ユーザーの生活に深く入り込んでいく未来が来ると吉本氏は予測する。
特にドコモについては、「粘着性の高い金融会社に生まれ変わろうとしている」と吉本氏。通信市場はMNP(番号持ち運び制度)の普及で乗り換えが容易になった。だからこそ、吉本氏は「切り替えしにくい金融サービスを強固にすることで、ドコモからの離脱を食い止める狙いがある」と鋭く指摘した。
その離脱に関しては、若年層の取り込みも関わってきそうだ。ドコモは、入会申込日時点で満18歳以上(高校生除く)29歳以下を対象とした若年層向けの「dカード GOLD U」を2025年2月から提供しており、こちらは年会費を3300円に設定している。こちらにも通常のdカード GOLDと同様に条件を満たせば実質無料になるなどの特典がある。
本来は「ハードルが高いはずのゴールドカード」を若い世代に持たせることで、将来的なdカード PLATINUMカードへの移行や、銀行・証券サービスの利用を促す「起点」にする戦略とみてとれる。吉本氏は「若い方がdカード GOLDを持つというおかしな世界が、ドコモの今後の強み(の1つ)になる」と語る。いわば「上位カードのカジュアル化」を図ろうという戦略といえる。
特に、ドコモのdカードについて見ていくと、上位カードを持つことがステータスではなく、「生活を最適化するための賢い選択」として定着し始めていることがうかがえる。「くらしと金融の境目のない未来」を描くためにも、dカード、携帯回線、顧客接点のドコモショップをいかに活用できるかが、今後、dカードひいてはドコモ経済圏の成長のカギを握るだろう。
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