News 2001年3月26日 11:22 AM 更新

見えてきたFOMA端末の姿──CeBITレポート

サービス開始を間近に控えたFOMA端末。やはり従来よりも少し大きく,また高価になりそうだ。503iの国内未発表機種も紹介。

 ドイツ・ハノーバーで開催のCeBITに,多くの3G携帯電話が出展された。世界に先駆け,5月にサービスを開始する日本向け製品では,かなり製品版に近いモックアップを見ることができた。

東芝はスタンダードなデザインで登場か?

 上は東芝ブースにあったWCDMA端末。下がNTTドコモブースにあったFOMAの「T」だ。ただし,これは「ちょっと古いモックアップ」(東芝)で,むしろコンセプトデザインに近いものだという。では製品はどうなるのかと訊ねると,なんとスタンダードデザインのモックアップが出てきた。

 残念ながら写真撮影は断られてしまったが,こちらが「製品化を前提として制作された最新モックアップ」とのこと。若干厚めのきょう体は,全体に丸みを帯び,淡い白とブルーのツートンカラーが女性にも受け入れられそうだ。また,上部には11万画素のCMOSカメラが装備され,ビデオ通話にも対応する。液晶ディスプレイは低温ポリシリコンTFT液晶だ。ただし,SDカードスロットの搭載については未定だという。

 少し厚めなのは,MPEG4のビデオコーデックLSIを含めたチップセットが搭載されるため。同社は,32ビットのRISCチップをコアとする「TC35273XBT3」など“Tシリーズ”を出荷に向けて準備しているが,将来的には集積度を上げてさらに小型の端末を製造できるようにする方針だ。

 なお,東芝ではこのFOMA端末を投入するタイミングについて,2001年秋を予定しているという。

Nは折り畳み型

 上の写真は,NTTドコモブースにあった折り畳み型のFOMA端末。下がNECブースにあった「W-CDMA端末」だ。NECによると「基本的に,折り畳み式になることは決まっており,アンテナを内蔵しているのが特徴」だという。

 同社では,FOMAサービスの開始から間もなく製品を市場投入する予定であり(「同時に」とは言わなかった),時期的に考えても,かなり製品に近いものだと思われる。

Pは折り畳み型にカメラも搭載

 上の写真はFOMAではない。欧州の3G規格「UMTS」に対応したVisial端末のモックアップだ。折り畳み式で蝶番部分にCMOSカメラを搭載し,リアルタイムのMPEG4エンコード/デコードを行うことができる。画面上に子画面があり,撮影した自分の顔はここに表示される仕組みだ。

 これは, NTTドコモブースにあったFOMA端末と同じ形状をしており,松下通信工業によると,「UMTS端末は,日本(FOMA端末)にかなり近いものになる」という。きょう体自体は,503iシリーズなどに比べて若干大きめに見えた。


画面の拡大写真

FOMAの本格普及は2002年以降?

 期待の高まるFOMAだが,市場の本格拡大に関しては「2002年以降」というのが市場関係者の意見だ。というのも,NTTドコモは,3GPPの「リリース99」に合わせてサービスを開始するが,IMT-2000の世界標準としては,さらに新しいリリースが既に出されているため。

 両者は完全には互換性が確保されておらず,NTTドコモは2002年以降に若干のシステム変更を行う方針のようだ。また,端末価格も新機能の搭載によって上乗せされるため,特にビデオカメラ搭載機種などは「4〜5万円になるのではないか」(市場関係者)との声も聞かれる。FOMAサービスのエリア拡大が遅いのも,このあたりに理由がありそうだ。

国内未発表のP503iSも

 このほか,NTTドコモブースの片隅には,まだ国内で発表されていない503iの新機種「P503iS」が展示されていた。「細部の変更はあるかもしれないが,ほぼそのままの形で出荷する見込み」(NTTドコモ)というこのモデル。実は以前から展示会用のパンフレットには記述されていたらしいのだが,モックアップが展示されたのは初めてだ。折り畳み型で,スペックや出荷時期などは未定だという。


松下製としては2機種目となるP503iS

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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