ターゲットセグメントに絞る ~日本テレコム新社長・倉重氏
日本テレコムは3月8日、倉重英樹氏の新社長就任会見を行った。今後の戦略を聞かれた倉重氏は、収益性の高い事業に特化し、スピード重視の事業展開を行いたい考えを示した。
日本テレコムは、昨年8月に日本テレコムホールディングスからリップルウッド・ホールディングスに売却された(記事参照)。これに伴い、2004年2月11日付けで倉重氏が新社長に就任していた。
倉重英樹氏の略歴 1942年生まれ、O型。1966年、早稲田大学政治経済学部卒業後、日本IBM入社。1993年、取締役副社長。同年に退任し、プライスウォーターハウスコンサルタント代表取締役会長に就任。2004年に退任し、現在に至る。趣味はゴルフとドライブ、小唄。座右の銘は「泰然自若」。
倉重氏は、通信業界で日本テレコムが置かれた状況は、厳しいものがあると認める。事業規模をとっても、日本テレコムが比較的小規模であることは否めないという。
ただし、同氏は「スモールの優位性――、スピードを差別化要素にしたい」と話す。クライアントに、きめ細かいサービスを提供したいとした。
同社はまた、今後は「オールラウンドより、ターゲットセグメントに絞る」ことを明言する。「成長セグメントに特化することで、下がっている売上を、成長方向にターンアラウンド(転換)させたい」。
もちろん、これは“事業規模を縮小”するわけではない、と倉重氏。「投資は積極展開する。それでなければ、明日を切り開けない。幸いキャッシュフローは順調で、投資能力はある」。
具体的にどの事業をターゲットにしていくかは、現状戦略を策定している段階。だが、このところ業績が上がり、有望視されている「法人向けデータ通信サービス」などが中心になると見てよさそうだ。
なお、倉重氏は「法人マーケットに注力するが、それはコンシューマ(市場)を諦めるということではない」とも話していた。
「変化を好む」
新体制がスタートするにあたり、人員整理などのリストラはあるのだろうか。倉重氏は、「私の経営スタイルは(費用削減よりも)売上を増やすこと。今いる人材を活用したい」と話す。
「必要なコストマネジメントはするが、リストラは何ともいえない。せっかくの社員だから、大事にしたいもの」とした。
同氏はまた、日本テレコムには勤勉で実直、意欲に燃えている社員が多く“心強い発見だった”ともコメント。
社員が“自分の能力が生かされている”“信用されている”と感じる状況にして、働いていて楽しい職場にしたいとした。
新しく経営陣に入った、戦略企画本部長の富村隆一氏は、倉重氏と供にプライスウォーターハウスクーパースのコンサルティング部門で、企業変革を手がけた人物。その富村氏は、倉重氏を「社員全体のCPUを使うのが上手い」と評する。「現場の人間に任せて、若い人間の能力を引き出す」。
倉重氏自身は、自らを“変化を好む人間”と話す。「同じことを繰り返すのは嫌。通信業界は変化が激しいので、そこに面白さがあるだろうと思った。目標をはっきりさせて、そこに死に物狂いで向かいたい」と、意欲を見せた。
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