大学はコンテンツ人材を育成できるか?(2/2 ページ)
濱野氏はプロデューサー育成の他にも「こうしたプログラムを指導できる人、映像技術などを独自に開発できる技術者も育成する」と話し、産学連携・学部横断で行われるプロジェクトを最大限に活用したいとその抱負を語った。
また、単一能力の育成のみではなく、複合的な能力を持つ人材を育成する方針。実際のカリキュラムでは「一線の制作現場で活躍している人を積極的に呼びたい」とし、できる限り実務経験に近い形で教育を進めていくという。
今回のプロジェクトは、基本的には学部卒の修士を対象としたものだが、学科を設立するという構想も進んでおり、「今後2~4年で学科にしたい」という。その際の名称については、「大学からはカタカナの名前を付けないでくれと言われていて(笑)、検討中」とのことだ。
これからのデジタル産業にはプロデューサーが必要
設立10年を迎えるデジタルハリウッドはこれまでにも多くのクリエーターを輩出している。その学校長を務め、今回、デジタルハリウッド大学院学長も務める杉山知之氏は、大学院設立の狙いを「これからのデジタル産業には“プロデューサー”が必要だから」と語る。
Webコンテンツやスタートした地上デジタル放送など、メディアは多様化しており、クリエーターもずいぶん増えてきた。しかし、そうしたクリエーターやメディアへの展開をまとめる、プロデューサーが足りない。杉山氏は現状をそう分析する。
そのプロデューサーを育成しようというのが、2004年4月に開講したばかりのデジタルハリウッド大学院だ。杉山氏は今後、一つのネタを映画やTV、ゲーム、Web、モバイルなど様々なプラットフォームで生かす「ワンソースマルチユース」の環境が一般的になると述べ、そうした環境下では、「これまで縦割り型で育ってきたコンテンツやメディアを横断的にまとめる人が必要になるのではないか」とプロデューサーの必要性を述べる。
杉山氏が大学院のコンセプトの一つとして挙げた「IT業界とコンテンツ業界の文化の壁を乗り越えられる人材」も、横断的に物事をまとめる能力を持つ人(=プロデューサー)の育成を第一としていることを示している。
カリキュラムも濱野氏の進めるプログラムと同じく「実践的なもの」にしていくとし、クライアントを仮に設定し、企画を提案させたり、その企画が通った場合の予算管理シミュレーションを行わせたりするなど、よりデジタルコンテンツをビジネスとして「仕掛ける」訓練を行っていくという。
これまでデジタルコンテンツに関する人材育成というと、実際のコンテンツ制作者向けの教育ばかりが主流だった。しかし、デジタルコンテンツ自体の領域が大きく拡がっている現在、「コンテンツをいかに生かすか」ということも必要不可欠になっている。両者のアプローチはその部分を担おうとする点で共通している。
だが、大学でそうした人材の育成は本当にできるものなのだろうか? この“疑問”への“答え”は、両氏のプロジェクトの進展とともに、そう遠くないうちに出るだろう。それが日本のデジタルコンテンツビジネスの行く末を左右することは、言うまでもない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
2
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
3
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
6
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
7
法人パソコンにも高騰の波 “中古”の常識を変えた「リファービッシュPC」に企業が熱視線のワケ VAIOに聞く
-
8
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
9
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
10
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR