ユーザーの“ものぐさ”が変える「監視カメラ」の世界(3/3 ページ)
取材の帰りに新宿のパソコン量販店に立ち寄ってみたところ、同じような用途と思われる松下電器産業製の一連の製品は、既にコンシューマー用として売られていた。またネットワーク関連製品でおなじみのcoregaにも同様の製品があり、リーズナブルな価格で販売されている。
まだまだ分類的には、ネットワーク周辺機器として十把一絡げになっている感のあるコンシューマー用ネットワークカメラだが、「監視」といういかつい響きではなく、“ちょっとした確認用”という程度の用途でそれらしいキャッチーなジャンル名が付けば、一ジャンルの成立も時間の問題なのかなという手応えが感じられる。
家庭での使い方としてマトモに考えれば、まず子供、老人、ペットといったキーワードが思い当たる。その場に行かなくてもだいたいの様子が分かるというのは、例えば2階建て3階建ての一軒家で生活しているようなケースや、留守がちな家庭などには欲しいものではないだろうか。
だがおそらくこのような用途も、監視ではないものの、ある意味ガチンコだ。それよりもむしろ、三浦氏の言う「ものぐさ」が必然を産むような気がする。外出先からでも、風で洗濯物が飛んでないかとか、冷蔵庫にビールあったかなとかを確認するような、一見くだらない用途だとしても、それが分かれば便利に違いない。
そのような家庭用として考えると、今度は簡単にLANからWANに出すための仕掛けとか、ケータイと相互連携するといったソリューションも必要になる。現状ではまだちょっとそこまでのグローバルな展開は行なわれていないが、そういう機能が付いたら面白いだろう。
現時点での利用で現実的なのは、オフィスでのライトな使い方だ。コピー用紙の買い置きが切れてるとかFAXが来てるとか、そういった“アナログな状況”がその場に行かなくても分かるのであれば、これも一つの「情報のAD変換」であり、IT化と言っていい。オフィス内を歩いているとそこらじゅうの人から頼まれる「ついで仕事」が減るのであれば、職場のコンセンサスも得やすいに違いない。
ただし今後、このような製品群が浸透していく上で注意しておかなければならないことは、IPカメラによる撮影は、“盗撮”であってはならないということだ。
防犯や犯罪捜査のために使われるわけではないので、あえてその存在を隠すことは、プライバシーの侵害に当たるだろう。そこに映る可能性のある人にも、カメラがあることを納得してもらわなければならない。また放送のスタジオカメラのように、今カメラからの画像がどこかでオンライン受信されていることを示す「タリーランプ」のような仕組みも、あっていいのかもしれない。
どの程度からプライバシーの問題になっていくのか、その具体的な範囲はまだまだこれらのカメラ市場がコンシューマーでは過渡期であることもあって、これから議論されるべき課題だろう。だが見る側も見られる側も、お互い許容できる範囲内でうまく使っていけば、よりよい人間関係を築くための一つのツールとして、十分アリなんじゃないだろうか。
小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
3
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
4
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
5
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
6
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
7
「対策を後回しにしたサーバが軒並み狙われている」 相次ぐ不正アクセスにラックCTOが警鐘
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
Anthropic、独自の“創薬活動”に着手 社員1人のバイオ企業を買収、小児難病の治療薬研究を進める
-
10
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR