インタビュー
開発者に聞いた「ビクターのDVDレコーダーはどこが違う?」(1/3 ページ)
アテネオリンピックのあった今年は、HDD+DVDレコーダーへの新規参入が相次いだ。その1つが日本ビクター。VHSの盟主であり、VHSビデオデッキでは強力なブランド力を維持している同社だが、DVDレコーダーでは後発組だ。そのビクターは、HDD+DVDレコーダーにはどう取り組んでいるのか? 製品企画を担当するAV&マルチメディアカンパニー商品企画部ホームネットワーク商品企画室の福津則昭主席と、技術開発本部コアユニットタスクリーダーの菅原隆幸氏に話を聞いた。
まだまだ発展途上、だから画質に拘った
VHS/S-VHSデッキでは“名機”と呼ばれる製品をいくつも送り出しているビクターだけに、そのアプローチは気になるところ。福津氏によると、参入にあたり、目新しさや奇をてらった機能を搭載するのではなく、あえて基本中の基本といえる画質にこだわったという。
「当社はHDD+DVDのハイブリッド型を含め、DVDレコーダーとしては後発メーカーになります。ですから、既にブランド力を持っている先発メーカーに対抗するためには、製品にインパクトのあるどういう特徴を与えるか、いうのが課題になります。開発を開始した当時、実は今でもそうなのですが、DVDレコーダーは非常に基本的な部分である画質も含め、まだ発展途上だと思っています。だからビクターはまず画質でいこう、と」(福津氏)。
では、画質へのコダワリは、どのような形で具体化したのか。
「まず、ビクターにはVHSやS-VHSで長い時間をかけて培った高画質化のための基礎技術がありますから、これを積極的に活用しようと考えました。製品として最初に具現化したのがDVDレコーダーのDR-M1で、モーションアクティブノイズリダクション、アダマールノイズリダクション、ゴーストリダクション、タイムベースコレクタなどの採用ですね。これらはモーションアクティブノイズリダクションを除くと、まさしくS-VHSで培ってきた技術です」。
しかし、DVDレコーダーでは、“MPEG圧縮”というVHSレコーダーにはない要素が加わる。ビクターはMPEG圧縮に対してどのようなアプローチを取ったのだろう。
「MPEG2には正面から向き合って、理想を追求しています。簡単に言えば、高い解像度と低圧縮ノイズの両立です。この2つは基本的に相反するもので、低ビットレートになればなるほど相反する部分が顕著になります。つまり、低いビットレートで解像度を欲張ると(圧縮率を高くすると)、圧縮ノイズが目に見えて増える。だからといって、解像度を落とすと視覚上の画質に与える影響が大きい。でも最終的に4.7GバイトというDVDメディアの限られた容量に、できるだけ長時間高画質でユーザーは録画しておきたいわけです。だからビクターはハイバランスで両方を欲張る……」。
アプローチとしては、まさに正道。理想の追求という言葉通りだ。しかし、それが簡単にできるのなら技術者は誰も苦労はしない。もう少し具体的な話を聞いていこう。
目指したのは“市販DVDビデオ”の画質
“ハイバランス”の第1段階は、2003年に登場したDVD単体レコーダー「DR-M1」で既にクリアしていたという。DR-M1では、映画などを録画することを考慮して、DVDメディア1枚に2時間半までの録画なら720×480ピクセル(D1解像度)を維持し、3時間10分では544×480ピクセル(3/4D1)、4時間まで480×480ピクセル(2/3D1)と、多くの競合製品より高めの水平解像度に設定している。これに、さまざまな高画質化技術を組み合わせることで、低ノイズの映像を実現しているという。
「目指したのは市販DVDビデオの画質です。市販DVDビデオは、結構圧縮しているのに、SDとはいえ画質は非常に良い。なぜなら2時間の映画なら2時間分の映像を解析して、全体に適切なビットレート配分をしているからなんです。しかし、放送をリアルタイムに録画する場合、未来の映像は予測できないので、どう工夫を凝らしてもビットレート配分の最適化には限界があります。だからといって、ビットレートの最適配分を優先すると、DVDメディア1枚に2時間録画できるはずの録画モードで、実際には2時間録画できないことも起こりえる」。
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