スカパー!がインセンティブを支払い続けなくてはならない理由(2/2 ページ)
それは今の家電店のセールスの仕方が、「テレビとDVDレコーダーをセットで買うと、これだけお得になります」といった具合に、複数の商品をセットにして売ることによって割安感を出すという形になっているからだ。
スカパー!のチューナーとDVDレコーダーをセットで買うといくら割引になるという設定では、DVDレコーダーの仕入れ値と、割引価格の両方を換算して、スカパー!側の支払うインセンティブをいくらにするかを決めることになる。組み合わせて売られる商品も多様なので、インセンティブの金額は常にケース・バイ・ケースで交渉が行われることになる。
今後の問題として考えられるのは、ボックスの買い替え需要への対応である。
スカパー!もスタートしてから8年になるため、初期のボックスは寿命を迎えつつある。今後、ボックスの買い替え需要が本格化してくることになるが、そもそもスカパー!がインセンティブを支払う趣旨が新規加入を伸ばすことにあるため、新規加入がある程度の数を超えたら、それに応じたインセンティブを支払うという形になっている。買い替え購入についてはカウントされないことになっているのだ。
だから、チューナーの価格が下がって、台数は売れるようになっても、その大半が買い替え需要になると、家電店からすると、売れば売るほど赤字ということになるかもしれない。そうすれば家電店は同様の理屈でスカパー!の販売に消極的になる可能性がある。スカパー!としては、今後、買い替え需要が本格化するのに対応し、これに対しても一定のインセンティブを支払っていくことになるだろう。
チューナーの普及を促進するため、プラットフォームはインセンティブを支払っているのだが、その図式は決して単純なものではないのである。
買い替え需要に似た話として問題になりそうなのが、2台目、3台目のテレビに接続するボックスの需要をどう考えるかという話だ。こちらは、スカパー!のチューナーよりむしろ、CATVのSTBでどう対応するのかその考え方がより重く問われるようになっている。いずれもユーザー側としては、2台目以降は無料にならないかと期待する声が強くなっていることは確かだ。
ただし、その答えを決めるに当たっては、ハードとしてのボックスの問題よりも、コンテンツの供給サイドとの調整がポイントになる。今のところ、ハリウッドを始めとして、番供供給サイドからは、2台目以降を無料にすることを容認する姿勢はあまり見られない。
とはいえ、インセンティブを支払う意味合いが時と共に変化してくるのと同様、1世帯の中で複数のボックスが使われることに対する対応も、時代と共に変化していかざるを得ないだろう。
新たな対応を迫られる時期は思いの他、早くやってくる可能性が大きいと筆者は考えている。
西正氏は放送・通信関係のコンサルタント。銀行系シンクタンク・日本総研メディア研究センター所長を経て、(株)オフィスNを起業独立。独自の視点から放送・通信業界を鋭く斬りとり、さまざまな媒体で情報発信を行っている。近著に、「モバイル放送の挑戦」(インターフィールド)、「放送業界大再編」(日刊工業新聞社)、「どうなる業界再編!放送vs通信vs電力」(日経BP社)、「メディアの黙示録」(角川書店)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
陸自が「イオンモール熊本」内部をドローン撮影 防衛省が映像公開
-
2
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
3
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
4
PayPayアプリで熊本地震への寄付が可能に 最短3ステップ・1円から
-
5
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
6
熊本で非常時Wi-Fi「00000JAPAN」発動中 KDDIが無料開放、他社ユーザーも利用可
-
7
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
-
8
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
9
Anthropicのミュトス、暗号アルゴリズムの新たな攻撃法を発見――耐量子署名「HAWK」の強度を半減
-
10
イオンモール熊本内部の様子も──自衛隊や警察庁、救助活動の動画・写真をSNSで積極発信
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR