社会とネットとサービスと──SNSその2
縁と縁とをつむぐ「リアル」SNS――あるカフェバーの場合(2/2 ページ)
SNSは強力なマーケティングツールだが……
mixiの縁縁コミュニティでは徐々に、スタッフが新メニューの紹介やイベント告知を始めた。「PRする場があるのだから、積極的に伝えていこう」――そんな意識のもと、フード担当者は今日のランチや新作ケーキを、オーナーや店長はイベント情報を書き込む。mixiユーザーはそれを見て縁縁に足を運び、感想をレスとして書いていく。
「SNSは、成熟するに従って強力なマーケティングツールになるだろう」と河上さんは考える。コミュニティで情報発信すると、ユーザーからの反応がすぐに戻ってくる。生の声をマーケティングデータとして生かせるし、ユーザーの好反応は口コミの宣伝材料になる。「SNSはユーザー同士の距離感が近いので、呼びかけて何かを集めたときの回収率は非常に高く、反応はとてもアクティブ」
ただ、河上さんはSNS上で、縁縁オーナーとしての立場をあまり強調しない。例えば河上さんのmixi日記には、縁縁のことはほとんど書いていない。他のスタッフも同様だ。「無意識だけど、書き込みが宣伝っぽくならないように気を遣ってるところは、あるかもしれない」と河上さんは打ち明ける。「コミュニティサイトのユーザーは敏感。あからさまな宣伝したり、何か押し付けがましいことを書くと引いてしまうだろう」
「SNSはWebサイトを超えた」
「始めはWebサイトを情報発信スペースにするつもりだったけれど、今や完全にSNSに食われてしまった形です」。メニューやイベント情報の更新、ユーザーとの交流は、Webサイトよりもmixiの方が速くて深い。縁縁のWebサイト上で、縁縁にゆかりある人に執筆依頼しているBlog「縁Blog」のライターも、半数がSNSで出会った人々。SNSという閉じた空間が、完全公開のWebサイトよりも強い力を発揮している。
SNSがつないだ縁は、縁縁のサービス充実にも役立ってきた。縁縁でカウンセリングや占いなどを行う日替わりのスタッフは、多くがSNSを通じて名乗り出た人。アーティストから、作品を展示したいとの依頼も舞い込む。
SNSから全国大会へ
mixiには、縁縁を核にしたコミュニティもいくつもできた。発端は、野球好きな共同オーナーの1人が作った「縁縁野球クラブ」。「メンバーが徐々に増え、『アパッチ野球団』のようにどんどん強くなっています」。
スタッフ以外の知り合いから、「縁縁の名を使ったコミュニティを作りたい」と頼まれることもしばしば。「縁縁マリンスポーツ倶楽部」「縁縁歌謡倶楽部」など、縁縁の名を冠したコミュニティが次々にできていった。
「SNSがきっかけで出来たコミュニティから、全国大会を制覇するようなチームが出たら笑えるよね。ウッチャンナンチャンの『芸能人社交ダンス部』みたいに、大会を目指して」――河上さんは心から楽しそうに話す。「SNSでのやりとりから、何か新しいムーブメントが起きると面白いよね」
そして、こんな夢を語る。「SNSや縁縁を、みんなの夢をサポートする手段に育てたい。SNSで広げ、縁縁で深めた人間関係をベースに、音楽やショートフィルムを作るとか、クリエイティブな活動を支援できれば」――縁縁は、SNSで知り合ったアーティストの作品を置き、「縁縁レーベル」でリリースしたインディーズアーティストのCDを流している。支援の芽は、確実に育ちつつある。
縁縁は、都営大江戸線/南北線の麻布十番駅から徒歩4分。カフェ・ランチタイムは11時30分~午後6時、バータイムは午後6時~午前0時(水・木・日)/午後6時~午前5時(月・金・土)。火曜日定休。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR