ポッドキャスト急成長の兆し ニフティ「配信数、想定の数十倍」
ネット企業のポッドキャスティング参入が、ここ数カ月で急増している。ニフティはポッドキャスティングポータル「Podcasting Juice」を7月にオープン。12の公式番組を公開したところ、1番組あたり数万人が配信登録するなど想定を大きく上るアクセスがあった。広告利用もすでに始まっており、ブログブーム草創期以上の勢いで広がりつつあるようだ。
ポッドキャスティングとは、ネットラジオ放送局や個人ブロガーがRSS配信する音声データを専用ソフトでダウンロードし、iPodなど携帯音楽プレーヤーに転送して聞く楽しみ方(関連記事参照)。米国で昨年後半から流行し始め、昨年末ごろ日本に上陸した。ニフティのPodcasting Juiceは、国内ISPとして初のポッドキャスティングポータルだ。
「まさかこんなに増えるとは」――Podcasting Juice責任者で、同社ビジネスグループコンシューマメディア部の清水孝治さんは驚いた。3月末の企画当初は、年内に1万人も利用してくれればいいだろうと考えていたが、ふたを開けると初日から予想の何倍ものアクセス。12番組のユーザーを単純合計すると20万にのぼるという。「ブログ並みに急速に伸びているという印象。アメリカのポッドキャスティング草創期に近い」
好調なスタートを引っ張った大きな要素はApple ComputerのiTunesだ。偶然にもiTunesが6月末、ポッドキャスティングに対応。専用ソフト不要で手軽に楽しめるようになり、ポッドキャスティングのハードルが一気に下がった。「iTunesが対応しなければ、これほど急速には広がらなかっただろう」
Podcasting Juiceで一番人気のコンテンツは、英会話番組「Better English」。数分間と気楽に聞け、毎日少しずつ学べる点が人気だ。落語コンテンツ「ぽっどきゃすてぃんぐ落語」も急激にユーザーを増やしているといい、当初は1カ月限定配信だった予定を延長した。「“ブログといえば(ココログで人気の)真鍋かをりさん”というように、ポッドキャスティングの代名詞となるようなコンテンツを発信したい」と清水さんは意気込む。
個人ユーザーの音声発信も広がりつつある。同サイトで公開している、ブログでポッドキャスティング配信するためのツール「Podfeed」の利用数は早くも1000を超え、年内には1万に達する勢い。当初は年内に300程度の利用を想定していたというから、これも予想をはるかにしのいだ。
個人のポッドキャストコンテンツは、ブログ日記的な一人語りが最も多いという。「文章は苦手でブログが書けなくても、しゃべりが得意という人は少なくない」と清水さんは話し、音声を手軽にネット公開できるツールへの潜在ニーズは高いと分析する。アマチュアミュージシャンの音楽作品発表の場としても活用されているという。
ラジオ局参入の“壁”
ラジオ局もポッドキャストに注目している。コンテンツを集めるため多くのラジオ局を回った清水さんは、「ほとんどの局がポッドキャストを知っていた」と驚く。ラジオ広告がネット広告に抜かれたというニュースや、ライブドアのニッポン放送買収騒動以来、ネット関連の情報に敏感になっているようだ。
しかし大手ラジオ局は、Podcasting Juiceへのコンテンツ提供を渋った。ラジオ番組のネット再配信は、煩雑な著作権処理が必要なことが一番の原因。テレビ番組のネット配信と同様、著作権の壁は厚いという。
コンテンツ提供を快諾したのは、首都圏ローカルのエフエムインターウェーブと、衛星ラジオ局ミュージックバード。両局とも、著作権のある音楽や効果音などを編集し、カットして再配信しているという。「かなり面倒。1から作り直したほうが早いぐらい」
清水さんによると、ポッドキャスティングの著作権問題を解決しようという試みが米国では進んでいるという。アマチュアミュージシャンが、番組で自由に利用してもらえる音楽を作成し、ポッドキャスティング配信しているのだ。ポッドキャスティングは、音楽の流通にも新しい流れを作り出しそうだ。
早くもCM利用
商品プロモーション用の音声をポッドキャスティングで配信する試みも早速始まった。国内で初めてプロモーションに活用したのは日本コカ・コーラの缶コーヒー「ジョージア」。ブログサービス「ココログ」を使ったプロモーションを行っていたコカ・コーラが音声コンテンツの配信に興味を持ち、利用を決めた(関連記事参照)。
ポッドキャスティングは、リスナーが番組を選び、早送りも自由。ダウンロードしたいと思わせる魅力を持ちつつ、番組全体で商品イメージをPRできるコンテンツを作らねばならない。コカ・コーラは、「夢を追う人を応援します」とするキャンペーンのイメージに合わせ、アスリートのインタビュー音声を配信。「ジョージア」という音声をジングルで入れ、番組内にCM音声を挿入するなど工夫した。
この試みがきっかけとなり、ポッドキャスティングでプロモーションしたいという企業からの問い合わせがニフティに相次いでいるという。
誰でも気軽に配信できる音声番組は、個人や企業の情報発信の形を変える可能性を秘めていそうだ。
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