小寺信良
デジタルテレビに潜む危険と脆弱性(3/4 ページ)
この脆弱なシステムが個人情報を抱えている
もう一つ、デジタルテレビに関する物騒な話をしよう。デジタル放送対応テレビでは、双方向通信機能を利用して、クレジットカードでのショッピングが可能だ。番組の内容と連動したテレビショッピングは、コマーシャルに代わる放送局の新しい収入源として、注目されている部分でもある。各局はそれぞれ会員登録ページをデータ放送内に設けて、住所、氏名、電話番号、生年月日などの情報を収集している。
では、このクレジットカードの番号も含むこれらの入力された個人情報は、そのあとどうなるかご存じだろうか。実は、放送局に送信されるだけではなく、テレビ内部にも記録が残るのである。
B-CASカードにも、このような個人情報を記録するエリアがある。メーカーによっては、このエリアを利用するものもあるだろう。だが本体内のメモリ領域に記憶する製品もある。個人情報をどこに記録しておくか、またデータをどのように暗号化するかなどの判断に関しては、すべてがメーカーまかせになっており、共通のガイドラインなど存在しない。
もしデジタルテレビを廃棄したり他人に譲ったり、あるいは修理に出すときは注意した方がいい。うっかりしていると、あなたの個人情報が抜き取られる可能性がある。もし廃棄したり、他人に譲ることになったら、これらテレビ内部に保存されている個人情報を、事前に初期化しておく必要がある。
例えば筆者宅のシャープAQUOSのマニュアルには、「本機を譲渡・廃棄するとき」という項目で、個人情報を削除するための手順を示すページがある。特に「B-CASカードを挿した状態で」などの注意書きもないので、おそらく本体内のメモリに記憶されているのだろう。
だがこのテレビを廃棄するときまで、このような初期化をしなければならないということを覚えていられるだろうか。また故障により廃棄する場合に、この初期化が機能しなかった場合はどうなるのだろうか。
また廃棄しないまでも、同メーカーのリモコンを使って、向かいの部屋の人が窓越しにあなたのテレビにアクセスするかもしれない。会員情報は、せいぜい4ケタの暗証番号で保護される程度だ。忘れないように紙に書いてテレビの下にでも貼っておいたら、ある日突然注文した覚えのない特上にぎり寿司30人前が届けられるハメになるかもしれないのである。
この問題に政府もようやく気付いたようで、現在総務省が各メーカーに対して、個人情報をテレビにどのような形で記憶しているのか、実態調査を行なっているという。もしかしたら1~2年後に何らかのガイドラインができるのかもしれないが、それ以前に購入したテレビでは一体どうなるのだろうか。これもファームウェアのアップデートでなんとかしてくれるのだろうか。
シンプルなテレビの存在も認めるべきでは
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
4
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
9
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
10
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR