インタビュー
“サイクロン”が起こした掃除機市場の大旋風――ダイソン(2/2 ページ)
掃除機を使うことを「ダイソンする」と呼んでもらいたい
ダイソンの創業者であり社長なのが、ジェームズ・ダイソン氏。CMへの登場や自身の著書などで、ご存知の人も多いのではないだろうか。イギリス王立美術大学在籍中からプロダクトデザイナーとして活躍していたダイソン氏は、従来の掃除機が紙パックやフィルターによって、徐々に吸引力が落ちること、そしてゴミが貯まったら捨てなけらばならないことに不満を感じていた。
サイクロンのアイディアを形にしたダイソン氏は、1986年に日本のある企業に技術を供与。「Gフォース」という製品名で販売された。意外なことに、ダイソン氏最初のサイクロン式掃除機は日本国内で発売されていたものだった。その後、1993年に自身の会社を設立する。すでにヨーロッパでは掃除機のトップメーカーとなっており、イギリス本国でのシェアは50%以上になるという。
日本での販売台数は非公開とのことだが、2005年の掃除機シェア(金額ベース)は約12%だったという。ラインアップは日本限定のDC12モデルのみ、しかも平均で7万~8万円と他社製品よりも高い価格帯にも関わらず、驚異的な実績を残している。価格やスペックなどの数字だけの比較ではなく、口コミや、サイクロンという新技術への興味が躍進の原動力となっている。
ダイソン氏自身の想いは、掃除機を使うことを「ダイソンする」と呼んでもらうことだという。かつてのコピー機がそうだったように。
自ら製品情報を伝える掃除機
――DC12は面白い機能を持っていると聞きました。一体どんな機能なのでしょうか。
樋口氏: 新開発されたデジタルモーターは、使用回数やモーターにかかった負荷の状況を記憶していますが、こうした使用状況のデータと、自身の型番や製造番号を、電源スイッチ近くのスピーカーから発信することができます。お客様センターへの問い合わせの中で、製品について詳しい情報が必要になった際に使っていただく機能です。電話の受話器を本体のスピーカーに近づけていただくだけで、製品個体についての基本的な情報を知ることができますので、故障原因をスムーズに調べることができます。
――あまり使う機会は無さそうですが、製品自体にそのような通信機能があるのは面白いですね。サポートのお話が出てきましたが、どのようなサポート体制となっているのでしょうか。
樋口氏: お客様センターは元旦以外の毎日、9時から18時の間にオペレーターが対応しています。万が一故障や不具合が発生した場合、ピックアップから72時間以内に修理を終えてお届けするサポート体制をとっています。
――ユーザーからは、ダイソン製品についてどのような声が寄せられているのでしょうか。
樋口氏: ほとんどの方が「自分の家、部屋がこんなに汚れていたのか……」と驚かれています。吸引力が落ちないため、これまで残っていたゴミを目にする機会が多くなったのではないかと思います。特にはがれ落ちた皮膚の角質物質は、白く目立ちますので、吸い取った成果として目に付くようです。
カラーリングについては、もう少し落ち着いたものが良いという方もいらっしゃいますが、大きさや重さについては、否定的な声は頂いておりません。スペック上の動作音は69デシベルとなっていますが、あまり耳障りにならないよう「音をデザイン」しています。
また、掃除が疲れなくなったという声もたくさん頂いております。下がっていく吸引力を補うためか、掃除機を押し付けて使う方が多いようです。吸引力が落ちない当社の掃除機であれば、なでるような操作でも十分に掃除することができます。
――今後のダイソン製品はどのような形になっていくのでしょうか。また現行のDC12は2004年発売ということですが、そろそろ時期製品が登場するのでしょうか。
樋口氏: 現在のところ新製品についての予定はありません。これからも自信を持ってDC12を販売して参ります。画期的な技術を1つの製品で形にする。これが、会長であるジェームス・ダイソンの考えであり弊社の方針です。これまでのモデルチェンジでも、サイクロン技術の進化だけでなく、必ず画期的な技術を盛り込んできました。DC12であればデジタルモーターの採用です。
イギリス本社には約1200人の従業員がおりますが、うち350人が技術を担当するプロダクトデザイナーです。研究開発については、こうした体制で休みなく行っています。
ダイソンが次に新製品を発表するときは、これまでにない画期的な掃除機を皆さんにお見せできると思います。
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