拡張色空間「xvYCC」、普及の条件(1/2 ページ)
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は8月30日、動画用の新しい拡張色空間「xvYCC」の説明会を開催した。今年6月、xvYCCに対応した「HDMI ver.1.3」が正式発行したことを受けて実施したもの。その内容から、xvYCCが普及するための条件が見えてきた。
xvYCCは、2005年10月にIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)で承認された色空間の国際標準規格。正式名称は「IEC61966-2-4」といい、自然界に存在し、人間の目が認識できるほとんどの“物体色”をカバーできる色空間を定義している。物体色の種類を示すマンセル色票(A・H・マンセルが考案したマンセルブックに示されている色票の数値目盛)に対しても「ほぼ100%」の表現が可能だ。
一方、現在テレビなどで一般的に使われているsRGBは、ブラウン管の特性をもとに決められたもので、NTSCと比較しても72%程度の色域しかカバーしていない。マンセル色票に対して表現できる色は約55%に過ぎず、主に“高い彩度を持つ物体色”の表現が苦手だ――たとえば花びら一枚一枚の微妙な彩度の違い、エメラルドグリーンの海の波ごとの違い、波しぶきのディティール感といった映像のリアリティを左右する部分が表現できないという。
実際、動画を撮影するカムコーダーには、既にsRGB色域を超える信号を撮影する能力があり、また液晶やPDPなど、ブラウン管以外の技術を用いて色再現域(色域)を拡張させた、さまざまな表示装置が市場に出てきている。しかし、現状ではテレビの色域がsRGBで制限されているため、カメラ側もsRGBの色域外になる色は「単純にクリップ(色域内の近い色に割り当てる)してしまうことを前提の画質設計になっている」。
「従来のテレビシステムでは、本来なら明度や彩度の違いがあった部分が“ベタって”しまい、色鮮やかな物体の素材感や立体感が損なわれている。また、フィルム撮影の映画素材が持つ色の一部が再現できないこともあった」。
加藤氏は「静止画の世界では、既にsRGBを拡張したsYCC色空間がExif 2.2に採用され、ユーザーは意識することなく楽しんでいる。一方、動画信号においても、高彩度色の保存が可能な未定義の領域が存在している。それを有効利用することで、広色域データのやり取りが可能になる」とxvYCCの意義を説明する。技術的には、カラースペースを構成する「RGB原色点・白色点」「RGB-YCC変換行列」「量子化」といった要素は従来のままで、「光電変換階調特性」のみを拡張する(ITU-R BT.709で定義された階調カーブを従来の範囲外まで拡張)仕様。平たくいうと「使っていない部分を定義しただけ」で、色域が格段に広がるのがxvYCCの良いところだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR