ソニー「TA-DA3200ES」がアナログアンプに立ち返った理由(1/4 ページ)
このところ独自のデジタルアンプ技術「S-Master PRO」を搭載したAVアンプを毎年発表してきたソニーだが、今年は10万円を切る価格帯にアナログアンプを搭載した「TA-DA3200ES」を投入してきた。
10万円以下のAVセンターの多くは、コスト的な制約のためにアンプとしての基礎体力が不足する場合が多い。10万円以下の価格帯では、本質的な音の善し悪しよりも、デジタル音場処理など機能面での充実の方が、実際の販売にも直結しやすいという事情もある。
このため、コストはデジタル信号処理部に厚めに振り分けざるを得ず、電源や回路に使う部材、それにシャシーを中心とした振動対策などの面で上位機種ほど贅沢な音質改善対策を施せない。それでも5万円を超えてくると、程よく良い音に聞けるようにバランスさせる作り込みを行うため、ノウハウやターゲットとするユーザー層の違いなどが各社の色となって強く製品の音に現れる。
ところがAVアンプ市場が成熟するに従い、10万円を切る程度の価格でも電源などの設計を見直し、根本的な部分でのS/N感やパワー感を引きだそうという試みに各社が取り組みだした。「TA-DA3200ES」も、そうしたアンプ部分の質を重視した低価格機(10万円近い金額を低価格機と分類するかどうかは疑問もあるだろうが、ここではあえて低価格機としたい)の1つといえる。しかしお世辞ではなく、実売8万円ほどのこのアンプは、なかなか腰の据わった力強い音を出す。解像度指向ではないが、柔らかさと力強さを併せ持つ音だ。
その製品としての生まれもユニーク、久々の新回路によるアナログアンプということで、関係者に取材をしてみた。
アナログアンプの原点に立ち返って設計した
DA3200ESの音は、特定の帯域のピーク感もなく、中高域から上の帯域で柔らかさも感じさせる耳当たりの良さがある。しかし低域は実に力強く、膨張感はないのにしっかりと量は出る。この価格帯の製品としては珍しい低域の出し方だ。
通常、このクラスで低域のパワー感を求めた場合、多少ゆるくなっても低域の量を引き出したり、あるいはある帯域から下の音をスッパリと切ってしまう(こうすると切った帯域の上の周波数帯がメリハリよく聞こえる効果があり、超低域が出ていないにもかかわらず、パンチのある低域が元気な音と感じる)などの調整が行われることが多い。しかし「TA-DA3200ES」は、もっと本格的に低域の力、躍動感を引きだそうとしている。
このアンプの設計を行ったのは、オーディオ事業本部ホームオーディオ事業部のエレクトリカルマネジャーを務める塩原秀明氏。塩原氏はピュアオーディオアンプの設計出身で、入社以来約20年、従来回路の流用をしないオリジナルのアンプ回路設計に取り組んできた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR