“livedoor縛り”から解放されたライブドア
ライブドアが4月から新体制で動き始めた。持ち株会社「ライブドア・ホールディングス」と事業会社「ライブドア」を切り離し、新ライブドアはポータル事業とデータセンター事業に専念する(関連記事参照)。
「以前の当社には荒っぽいイメージもあったと思うが、新ライブドアは技術に回帰し、ネットで正々堂々と勝負する。ユーザーにびっくりしてもらったり、世の中をちょっと便利にしていきたい」――同社の出澤剛社長はこう意気込む。
池邉智洋CTO(最高技術責任者)は「旧経営陣の時代は“livedoor.com縛り”があり、ライブドアポータルに合わないサービスや、一般受けしないサービスは作りにくかった。だが今は、いろいろなことにチャレンジできる」と語る。
ポータルは「黒字化したことがない」が……
ライブドアはこの1年で事業の整理・再編を進め、ポータル事業とデータセンター事業に集約した。公衆無線LANサービス「livedoor Wireless」は「投資が必要なビジネスで、新会社の規模にしてはサービス規模が大きすぎる」(出澤社長)ため持ち株会社に残し、他社との提携を模索する。
前期の年間売上高は50億円で、ポータルとデータセンターがそれぞれ半々。データセンター事業は安定した黒字を稼ぎ出し、事件後も収益は落ちていないが、ポータルは旧経営陣時代を含めて黒字化したことがないという。
「旧経営陣は、まずポータルにトラフィックを集め、その後金融ビジネスと融合させるなどして収益を上げようとしており、短期の利益追求はしていなかった」(出澤社長)ため、ポータルは投資という位置づけ。赤字でも問題にならなかった。
だが新会社ではポータルだけで黒字化し、収益の柱に育てていく計画だ。ポータルのトラフィックは「国内2位グループの上位」(出澤社長)と好位置に付けている。事件から1年経ち、イメージも徐々に回復。広告収入も改善し始めたという。
旧経営陣時代は「何をしでかす会社か分からない」という不安感から出稿をためらう企業もあったといい、今はむしろ安心して出稿してもらえるようになった面も。ポータル事業のコスト削減余地も大きく、黒字化はすでに見えてきたという。
今後1年は、ポータルのトップへのバナー広告など「Web1.0」的なビジネスを、他ポータルと同程度までに伸ばして足場を固める。その後、ブログサービスとして国内ナンバーワントラフィックという「livedoor Blog」など、得意の「Web2.0」分野で新しい収益モデルを作っていく。
“livedoor.com縛り”からの解放
「旧経営陣時代にはlivedoor.com縛りがあった」と池邉CTOは振り返る。「livedoor.com」ドメインのポータルで集客することを第一義の目的としていたため、どんなサービスにも「ライブドア」の名を付けてlivedoor.comドメインで展開。デザインもライブドアポータルに合ったものにする必要があった。
新会社では、ドメインに縛られず新サービスを展開する。4月末オープンを予定している新ブログサービス「PRAC」や、今後リリース予定のRSSリーダー「livedoor Reader」英語版も別ドメインで展開。従来のサービスとは見た目もまったく異なるという。
「PRAC」は、Ajaxを活用した直感的なインタフェースで初心者にも使いやすいサービスを目指した。「今のlivedoor Blogユーザーは1人で黙々とオピニオンを書いていく人が多く、コミュニケーションの“すき間”がある」(池邉CTO)とコミュニケーション機能にも気を配ったという。
ブログ同士がタグでつながる仕組みにし、ユーザー同士でコミュニケーションを取りやすくしたほか、お気に入りのブログをファン登録する機能も装備。相手の承認があって初めてリンクできるSNSと違って一方的につながることができるのが売りだ。日記のエントリーごとにパスワードを付けられる機能も搭載。「パスワードを知っている人だけがアクセスできるようにする“あぷろだ”的なカルチャー」(池邉CTO)
データを構造化して保存できる仕組みも作った。例えば商品レビューなら、商品の品番ごとにデータを整理している。また「5段階評価は面倒なユーザーも多いかもしれない」と、○×で評価できるようにするなど気軽に利用できるよう工夫した。
新サービスは腰を軽く
「ネットの世界は、3年後どうなっているか誰も分からない。ユーザーに使ってもらえる自信のあるサービスはどんどん出したい。ただ、以前のように“流行ればパクる”ではなく、『これならいける』という実感を伴ったサービスを、腰を軽くして出していきたい」(出澤社長)
旧経営陣のライブドアでは、一般受けしない新規サービスは展開しづらかったが、新ライブドアは、新サービスもどんどん試していきたいという。
日本から世界へ
「日本発のサービスが海外で通用しないのは、言語の壁だけの問題かもしれない」(出澤社長)――livedoor Reader英語版を皮切りに、海外に向けた英語版サービスも展開していく計画だ。livedoor Readerの開発者は「Google Readerが流行しているのは英語だから、という1点のみ」と語り、世界展開に自信を持っているという。
池邉CTOは「ネットのエンジニアは、できるようになるとみんなシリコンバレーに行ってしまうという危機感がある」と語る。ライブドアを辞め、米SixApartに渡った宮川達彦さん、元日本オラクルで、インフォテリア米国法人社長の江島健太郎さん、はてなの近藤淳也社長――優秀なエンジニアが、吸い込まれるように米国に行く。
ライブドアは、世界に通用するサービスを、東京から発信したいという。「米国だから、Googleだからいい、という訳ではない。Googleは確かに巨人だが、ポイントポイントで勝てる場所がある」(出澤社長)。国産の“自信作”を構築して海外に発信し、世界のネットユーザーに問うていきたい考えだ。
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