小寺信良
ビデオカメラに飛び火するハイビジョン戦国時代(1/3 ページ)
8月に入ったとたん、怒濤の勢いで各社からハイビジョンカメラの発表が相次いだ。1日にはパナソニック(関連記事)とキヤノン(関連記事)が、2日には日立製作所(関連記事)がそれぞれ新製品を発表した。おそらく2日間で3メーカーがビデオカメラの新製品を発表するという製品ラッシュは、筆者も7年ぐらいビデオカメラのレビューをやっているが、ちょっと記憶にない。
秋モデル、すなわち運動会シーズン向けとしてリリースされる新製品を発売日順でリストアップすると、以下のようになる。
| メーカー | モデル名 | 発売日 | 記録メディア |
|---|---|---|---|
| ソニー | HDR-SR7 | 6月20日 | HDD |
| ソニー | HDR-SR8 | 6月20日 | HDD |
| ソニー | HDR-CX7 | 7月10日 | メモリ |
| 日本ビクター | Everio GZ-HD3 | 8月3日 | HDD |
| パナソニック | HDC-SD5 | 8月25日 | メモリ |
| パナソニック | HDC-SX5 | 8月25日 | メモリ/DVD |
| 日立製作所 | DZ-BD70 | 8月30日 | BD |
| 日立製作所 | DZ-BD7H | 8月30日 | BD/HDD |
| キヤノン | iVIS HR10 | 8月下旬 | DVD |
| パナソニック | HDC-SD7 | 9月8日 | メモリ |
| キヤノン | iVIS HG10 | 9月上旬 | HDD |
秋の運動会シーズン向けの量販店カメラ売り場には、実に11モデルものハイビジョンカメラが新製品として並ぶわけである。この中にはカラーバリエーションがあるモデルもあるので、実質もっと増えるわけだ。
ただ、テレビなどの一般的な家電と違って、ビデオカメラ市場はそれほど大きいわけではない。JEITA調べの出荷実績によれば、ピークであった2003年が168万台弱で、それ以降は微減傾向が続いており、今年(07年)は140万台程度と予測される。ちなみに市場がちっちゃくなったと言われているDVDレコーダーでさえ、市場規模は400万台と言われており、それでも撤退するメーカーが続出したわけである。
これらビデオカメラの全メーカーがまんべんなく居場所を確保するというのは、事実上難しい話だ。この秋商戦は、かなりシビアな戦いとなることが予想される。
ただ、日本の場合は世の中全体がハイビジョン方向にシフトし始めたという傾向は、確かにある。ビデオカメラ全体の売り上げ比率で行けば、実はまだ結構SDのビデオカメラも売れているわけであるが、今年後半はいよいよハイビジョンカメラの売り上げ比率が5割を超えるのではないかと言われている。
ハイビジョンカメラの売り上げ比率が急激に伸びたのは、実は今年に入ってからである。その要因は、AVCHDフォーマットのカメラが06年末にリリースされたからだ。テープ式のHDVもハイビジョンカメラには違いなかったが、やはりノンリニアメディアに記録するベネフィットというのは、強烈なものがあったということだろう。
各社のビデオカメラ戦略
ここで各社のハイビジョンカメラ戦略を俯瞰してみよう。長らく業界1位に君臨し続けるソニーは、AVCHDの製品投入が一番早かった。このハイペースは、今も変わっていない。
今年に入った時点での記録メディア別のシェアは、半数近くがDVDであった。だがこの6月7月で一気にHDDタイプがこれを逆転している。これはあきらかに、ソニーのHDR-SR7/8の影響だ。
ソニーのビデオカメラ戦略は、ある意味マルチフォーマット戦略とも言える。その時点でベースとなるカメラスペックを設計し、記録メディアを載せ替えてラインアップを拡充するという手法である。
これはラインアップを揃えるにあたって大幅な開発費削減が可能であり、逆に言えばどのメディアに「当たり」が来ても損をしないということでもある。ただそのぶん、そのメディアが持つベネフィットは、まさにメディア頼みであるという弱点もある。つまり、このメディアを積んだからこそカメラがこう変わる、という「なるほど感」が少ない。
しかしこれだけHDDモデルが当たったことから、今後は撮ったあとの映像を吸い出してPCでどうする、あるいはネットワークでどうする、というアフターソリューションを中核に置いた戦略に転換するものと思われる。
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