OpenSocialはGoogleの新たな財布?
米Googleがソーシャルネットワーキングサービス(SNS)向けの共通APIとして発表した「OpenSocial」の話題がここ数日、IT関連のメディアやブログ界をにぎわせている。11月1日にOpenSocialが正式発表されてからというもの、話題の中心はもっぱら「OpenSocialへの参加を表明している15程度のSNSからプログラマーがどのようなアプリケーションを構築するか」という点に集まっている。
ところで、OpenSocialやFacebookなど、開発者向けプラットフォームを公開するサイトはどうやって収益を上げるのだろう?
答えは簡単だ。こうしたベンダーがプログラマーに自社のプラットフォームを使ってもらうのは、「いずれ、一部のアプリケーションが大当たりして広く人気を博するようになれば、そうしたアプリケーションを目当てに大勢のユーザーがオンラインに集まる」と期待してのことだ。
オンラインに集まるユーザーが増えるということは、オンライン広告の対象も増えるということだ。オンライン広告の分野は目下Googleがリードしているが、FacebookやMySpaceなどもこの分野に触手を伸ばそうとしている。
「今回の動きにより、ユーザーやトラフィックの増加が加速し、それに伴い、広告在庫も増加し、ひいては広告収入の増加にもつながる可能性がある」とIDCのアナリスト、レイチェル・ハップ氏は10月31日付の調査リポートで指摘している。
また英Ovum Researchのアナリスト、デビッド・ブラッドショー氏によると、今回の動きで一番いいのは一方通行ではない点だという。なぜなら、アプリケーション開発者は自分のウィジェットに広告を置くことで収益を上げられるからだ。「広告の料金体系には、クリック数に基づくものもあれば、インプレッション数に基づくものもある。つまりGoogleや開発者はユーザーが広告を見るだけで収益を上げるということだ」と同氏はeWEEKの取材に応じ、語っている。
ブラッドショー氏はOpenSocialアプリケーションにGoogleのAdSenseコードが含まれるかどうかに興味を示している。AdSenseコードが含まれるのなら、Googleはクリックに対して料金を課せることになる。同氏によると、WebサイトにAdSenseを組み込むには、HTMLのコードを幾つか追加するだけでいいという。
GoogleのOpenSocial担当製品マネジャー、ジョー・クラウス氏はeWEEKに対し、確かにOpenSocialで開発されたアプリケーションは広告のチャンスだが、このAPIセットには、プログラマーにAdSenseの使用を強要するような要素はないと語っている。
「ただし、より多くの開発者により多くのソーシャルなアプリケーションを開発してもらうことで、その一部にAdSenseが採用され、それが当社の利益につながることをわれわれが期待しているのは確かだ」と同氏。
クラウス氏によると、アプリケーションを市場に投入しやすいよう開発者を支援することは、結果的に、Googleにとってもプラスに作用するという。なぜなら、アプリケーションが豊富に提供されることは、ユーザーにとってもプラスだからだ。「消費者がオンラインで過ごす時間が増える。ユーザーがオンラインで過ごす時間が増えれば、概して、検索件数も増えるものだ」と同氏。
つまり、ユーザーの検索件数が増えれば、そのユーザーはより多くの広告に遭遇することになり、その結果、広告のクリック数も増え、ひいてはGoogleの広告収益も増えるというわけだ。
では、今回の動きはFacebookにはどのような影響をもたらすのだろうか? Facebookが5月24日にプラットフォームを公開して以来、同プラットフォームを基盤に既に7000前後のアプリケーションが開発されており、友人同士でフードファイトに興じたり羊を投げ合ったり、スライドショーを表示したりできる、各種のウィジェットが登場している。
Facebookの広報担当者によると、OpenSocialについてはまだ事情を詳しく把握していないため、OpenSocialへの参加がFacebookの5000万人のユーザーにとってプラスになるかどうかはまだ分からないとしている。またFacebookはeWEEKに対し、具体的な金額の公表は断っている。
だがOvumのブラッドショー氏も指摘しているように、Facebookは他社に先駆けてサードパーティー製ウィジェットの採用に踏み切り、ユーザーによる人気の点でも実際の採用の点でも成功を収めている。もっとも、Facebookはこの分野をリードしているものの、プログラマーには同社のプロプライエタリなAPIの使用を求めており、一方のOpenSocialはHTMLやJavaScriptといった標準を使って構築されている。
これはつまり、Facebook向けのウィジェットをほかのサイトに導入したり、その逆を行うのはかなり難しいということだ。「一方、OpenSocial対応のウィジェットであれば、複数のサイト間を比較的容易に移植できる」とブラッドショー氏。
この点は、OpenSocialの成功を期待させる最大の要因と言えそうだ。またOpenSocialにはMySpaceが参加を表明しており、OpenSocialネットワークは2億人強のユーザーをターゲットに据えられることになる。
ブラッドショー氏はSNS開発に掛かるコストとその結果もたらされる金もうけの流れについて、次のように指摘している。
「これがビジネスの世界だ。ソフトウェアベンダーは自社製品を基盤に製品を開発してもらうよう奨励するが、だからと言って必ずしも、そうしたパートナー企業から収益を上げるわけではなく、実際には市場を広げているにすぎない」と同氏。
だから、SNSの友人同士でフードファイトや羊の投げっこで喜んでいる人たちはどうか、GoogleやFacebook、そしてそのソフトウェア開発パートナーらが今もどこかで、あなたの1クリックでホクホクともうけていることをお忘れなく。
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