Yahoo!、中国人記者投獄事件への関与をめぐる訴訟で和解
米Yahoo!は議会での公式謝罪からちょうど1週間後の11月13日、同社が中国当局に協力した結果、ジャーナリストのシ・タオ氏が懲役10年の刑に服することになったとしてシ氏の家族から訴えられていた民事訴訟で和解した。和解条件は明らかにされていない。
中国のContemporary Business Newsの記者兼編集局長だったシ・タオ氏は、メディアや民主主義活動家に対する中国政府の弾圧を報告する記事を海外のWebサイトに偽名で掲載したために、2004年に自宅で逮捕された。中国政府はシ氏の記事を国家機密法違反と見なした。
中国政府は、Yahoo!からシ氏のメールアカウント情報(IPアドレス、ログオン記録、メール履歴など)の提供を受け、北京に住んでいた同氏の身元を特定した。投獄されたもう1人のジャーナリスト、ワン・シャオニン氏の家族もこの訴訟に加わっている。ワン氏は2002年に逮捕された。Yahoo!が中国の警察に、同氏と匿名のメールや政治的なオンライン投稿を結び付ける情報を渡したためだ。
米下院外交委員会のメンバーは先週、米国のインターネット企業が中国でビジネスを行う難しさを浮き彫りにしたこの有名な問題で、Yahoo!が果たした役割を厳しく非難した。Yahoo!は2006年に議会の公聴会で、当社は中国政府の法的命令に従ったにすぎず、「捜査の内容に関する情報は持っていなかった」と主張した。同社は最終的にこの発言の撤回を迫られた。
Yahoo!の法務責任者マイケル・カラハン氏が証言したこの2006年の公聴会の後で、下院外交委員会のトム・ラントス委員長は、中国警察当局がYahoo!に、シ氏が「外国への国家機密漏えい」の嫌疑をかけられていることを、書面で伝えていたことを示す書類を発見した。中国の政治的反体制派はこの罪に問われることが多い。ラントス委員長は11月6日、カラハン氏とYahoo!のジェリー・ヤンCEOを召喚して公聴会を開いた。
「わたしはもっと正確に証言すべきだったとは思うが、わたしの証言の基本的な主旨は変わらない」とカラハン氏は6日に議員に語った。「われわれは、Yahoo! Chinaが情報提供を命じられたとき、その捜査がジャーナリストや反体制活動に関係していることや、それが政治的な捜査であることを知らなかった」
外交委員会はこれに反発し、委員会スタッフはYahoo!の弁護士から、カラハン氏の2006年の証言の際には、10人強のチームが準備を手伝ったと聞いている、と指摘した。
「10人強の弁護士が、別の弁護士が議会で証言する準備を手伝っていた。それなのに誰一人、今回の公聴会を開くきっかけとなった書類を調べようと考えなかったなどということがあり得るのか」とクリス・スミス議員(ニュージャージー州選出・共和党)は述べた。「とんでもない話だ。あることを知らないのと、知らないことにするのとは大違いだ」
Yahoo!にとってはさらにばつの悪いことに、委員会スタッフの計らいでシ氏の母親のガオ・チンシェンさんが、ヤン氏とカラハン氏の後ろの傍聴席最前列で証言を聞いていた。ヤン氏はガオさんに丁寧におじぎをして謝罪した。
「ここで、傍聴席にいる反体制者のご両親に、あいさつと個人的な謝罪をさせていただきたい」とヤン氏は証言の中で述べた。「非常に深刻な人権問題が起きていることに心を痛めている。わたしはこの会社一筋で働いてきた。だが、世界の政府が、オンラインで自分の意見を口にするだけで人々を投獄していることも知っている。これは個人として、そして職業人としてのわたしの信念とまったく相容れないことだ」
シ氏の母親は謝罪を聞きながら涙を流した。
ブラッド・シャーマン議員(カリフォルニア州選出・民主党)はヤン氏に、Yahoo!はシ氏の家族に「人道的援助」を提供してこなかったのかと問いただした。
「われわれは適切な措置を講じることもできたはずだが、そうしなかった。それについて謝罪する」とヤン氏は述べたが、シ氏の家族に補償を行うという具体的な確約はしなかった。
シャーマン氏は納得せず、シ氏の家族がYahoo!に対して起こした民事訴訟に言及した。「家族に有利な条件で和解することもできるはずだ」と同氏は述べた。
「われわれはそうすることを必ず検討する」とカラハン氏は語った。1週間後、Yahoo!はまさにその道を選んだ。
「議会の糾弾を受け、ハイテク大手のYahoo!はようやく正しいことをした。同社の加担によって投獄されたジャーナリストの家族に、同社は金銭的な支援を提供することになる」とラントス議員は声明で述べた。
「お粗末な限りだ。21カ月前にYahoo!の幹部に、家族に支援の手を差し伸べたかどうか尋ねたとき、わたしはその答えにあきれた。先週も、同社がまだ何も手を差し伸べていないと聞いて、非常に腹立たしかった。今日の和解に至るまで時間がかかり過ぎていると思う」(ラントス議員)
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