薄型テレビの新標準?
“アクトビラ対応”の条件(2/2 ページ)
オープンであるが故のトレードオフ
メーカー主導のサービスだけに、アクトビラはとにかくハードルを下げて利用者を増やすというのが基本路線だ。アクトビラ ビデオ(フル含む)には入会金や月額基本料が必要なく、個々のコンテンツを購入するときだけ課金される。回線の種類やISPも問わず、対応するテレビとブロードバンド環境――FTTHはもちろん、ADSLやCATVインターネットでも帯域幅さえ確保できれば利用できる(別記事を参照)。ここが光ファイバーを前提とした「ひかりTV」などと決定的に異なる部分だ。
もちろん、オープンなネットワークを使用するため、トレードオフとして“見られない”リスクはどうしても残る。アクトビラの配信システムを提供するIIJは、アクトビラ ビデオ・フルのために10Gbpsインタフェースと「同時に数万件のアクセスがあっても問題ない」システムを構築しており、利用者の増加に合わせて順次拡大していく方針だ。ただ、ADSLなどユーザーのアクセス回線が細い場合のほか、「ISPとの接続」など中継回線がボトルネックになったり、FTTHでもマンション型など多くの世帯が回線を共有するタイプでは視聴できないことは考えられるという。
| メーカー | アクトビラ ビデオ・フル対応機 |
|---|---|
| シャープ | Rシリーズ |
| パナソニック | PZ750シリーズ、PZ800シリーズ |
| ソニー | ネットワークTVボックス「BRT-NX1」 |
| 東芝 | Z3500シリーズ、ZH500シリーズ、ZV500シリーズ |
| 日立 | UT770シリーズ |
アクトビラ ビデオは、暗号化したコンテンツをhttpのシングルセッションで伝送する(トップページなどはhttps)というシンプルなスタイルのため、udpなどを使用した一部サービスと異なり、回線速度が落ち込んだときには“画質が下がる”のではなく、映像が途切れてしまう。もちろんキャッシュが内蔵されているが、PCと違ってテレビのそれは潤沢とはいえない。試しに東芝「37Z3500」とパナソニック「TH-50PZ750SK」で6Mbpsのアクトビラ ビデオ・フル再生中にイーサネットケーブルを外してみたところ、どちらも3~4秒後に映像が途絶えた。
「FTTHなどインフラの普及はもちろんだが、H.264の進化にも期待している。例えば4Mbpsでフルハイビジョンといったことが可能になれば、求められる回線速度は現在のアクトビラ ビデオと同等。ユーザーも広がる」(IIJ)
もう1つの気になるところ
オープンなシステムと標準搭載テレビの数を武器に、アクトビラはパートナーを増やしている。4月下旬にはネオと提携して20世紀フォックスのヒット作品を配信すると発表したほか、NHKオンデマンドやTSUTAYAの参入など、コンテンツ面の拡充に期待が持てる発表が相次いだ。「TSUTAYA TVでは、7割がハイビジョンコンテンツ。とくに人気のハリウッド映画が増える」(アクトビラ)。
ただ、もう1つ気になる部分がある。アクトビラ ビデオには「新作」や「アニメ」といった分類やコンテンツ提供者別のメニューは存在するものの、タイトル名などで横断的に検索する手段がない。現在はページを何度かめくればそのジャンルのコンテンツをすべて確認できる数だが、コンテンツの増加に伴って検索機能の実装は必須になるだろう。またテレビ用のネットワークスピードチェック機能がない、ブラウザの表示速度がPCに比べると遅いといった課題もある。
テレビメーカーもこの点は把握しており、ブラウザの表示速度向上などに注力し始めた。例えば東芝「Z3500」シリーズはファームウェアアップデートによるアクトビラ ビデオ・フル対応とともにブラウザの描画速度を向上。先日シャープが発表した「AQUOS R」では、画像処理エンジンの高速化やリンクの先読みを盛り込んだ(これらをEXシステムと称している)。
購入した薄型テレビにVoD機能があり、入会金も必要ないのであれば、少なくとも“試す”ことにちゅうちょする人は少ないだろう。ただ、ここでつまずくと、静止画コンテンツだけのころのように、せっかくの機能を眠らせてしまうことになりかねない。アクトビラのVoDを放送やパッケージソフトと並ぶ新しい映像ソースとして定着させるには、コンテンツの拡充とセットでユーザーインタフェースの改善を考える必要がある。
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