MSが明らかにする「Windows 7」の開発チーム
8月18日、MSDNブログの1つに「The Windows 7 Team」と題する投稿が公開された。わたしのRSSリーダーでは、公開時刻は17日午後4時となっているが、数時間前にそのブログにこの投稿はなかった。また、ブログサイトでのタイムスタンプは18日午前12時だが、最初のコメントが寄せられたのは同日午後4時46分だった。公開時刻はともかく、これは内輪の情報を盛り込んだ長い投稿だ。おそらく書いたのは、Windows & Windows Liveエンジニアリング担当上級副社長のスティーブン・シノフスキー氏だろう。もっとも、今の段階でこうして明かされるインサイダー情報は、「何もないよりはまし」くらいに考えた方がよさそうだ。
わたしがこのコラムで書くことには、少し嫌みな皮肉が混じっている。そうせずにはいられないからだ。そして、これはWindowsに関するわたしのどのコラムにも当てはまることだろう。だが、だからこそ、「Engineering Windows 7」(E7)ブログを称賛する場として、ここに勝るところはないだろう。スティーブン・シノフスキー氏のようなMicrosoftの有力役員が、このブログでWindows Vistaの後継OSについて述べ、コミュニティーや顧客、さらにはライバル会社のフィードバックを募っているのは素晴らしいことだ。これに対し、「The Windows Vista Team」ブログはマーケティングツールだ。これまでのところ、E7は双方向の対話の場となっているように見える。
だが、ここでまた嫌みな皮肉を言わせてもらうと、スティーブンはこの投稿で、E7ブログに関する事実関係を明らかにしており、わたしはそれゆえになおさら興味深く読むことができた。
ジョンもわたしも驚いたことに、多くの人がこのブログ投稿の「信ぴょう性」に疑問を呈した。「投稿はゴーストライターが書いている」とか、「このブログは何らかの策略によるものだ」とまで指摘した人も何人かいた。わたしは投稿をWindows Live Writerで直接タイプして、「公開」ボタンを押している。このブログは、タイプミスや間違いも含めて、すべて本物だ。投稿が誰かの手を介しているとか、チェックを経ているということはあり得ない。
わたしは、PR担当者が「投稿をチェックしている」と指摘した1人なので、当然の反撃を食らったことになる。それにしてもしゃくな話だ。事実を見抜けなかったのは悔しい。とはいえ、わたしは以下の段落を読んで、確かにゴーストライターは関与していないと納得した。
一般的に、機能チームには、Windows全体のアーキテクチャコンポーネントとシナリオの組み合わせに対する権限と責任が含まれる。「機能(feature)」は常に厄介な言葉だ。機能とは、ユーザーインタフェースの1つの要素だと考える人もいれば、従来からのアーキテクチャコンポーネント(TCP/IPのような)だと考える人もいるからだ。われわれのアプローチは、シナリオとアーキテクチャのバランスを取り、アーキテクチャについて、適切なレベルで包括的にカバーし、適切な要素を確保するというものだ。
PR担当者は、こうした文章構造を許せないはずだ。この段落は、わたしもたまにやってしまうような書き方になっている。つまり、正確さを期すあまり、ピントがぼけてしまっている。
だが、この段落はある意味で重要だ。つまり、スティーブンは、Windows開発チームの担当領域を組織の内側から見ているわけだ。同氏は次のようにも述べている。
Windowsチームは肥大し、エンジニアリング上の問題を引き起こすほどの規模に達しているという声も出ている。また一方で、ブログのコメントを見ると、Windowsについては、幅広い機能や変更が非常に求められていると指摘できそうだ。Windowsの開発には一連の人々が必要であり、それは大きなプロジェクトだ。
わたしは、この段落の冒頭で言及されている「声」は聞いたことがない。皆さんはあるだろうか。Windowsの、つまりそのコードベースが大き過ぎるという不満が広がっているのは確かだ。しかし、その開発チームの規模に対する不満については、わたしは心当たりがない。
次に、この投稿から、機能にかかわる長いリストを引用しよう。そこからWindows 7について見えてくるものがあるからだ。
Windows 7の主要な機能チームの一部を以下に示す(訳注:原文はアルファベット順のリストになっている)。
* アプレットおよびガジェット
* 支援およびサポート技術
* コアユーザーエクスペリエンス
* 顧客エンジニアリングおよびテレメトリ
* ディプロイメントおよびコンポーネントプラットフォーム
* デスクトップグラフィックス
* デバイスおよびメディア
* デバイスおよびストレージ
* ドキュメントおよび印刷
* エンジニアリングシステムおよびツール
* ファイルシステム
* 検索および整理
* ファンダメンタル
* Internet Explorer(IE 8の下位互換性を含む)
* 国際化
* カーネルおよびVM
* メディアセンター
* ネットワーキング―コア
* ネットワーキング―エンタープライズ
* ネットワーキング―無線
* セキュリティ
* ユーザーインタフェースプラットフォーム
* Windowsアプリケーションプラットフォーム
これらのほとんどは、Windows 7の開発チームの概要を紹介するという、この投稿の趣旨に十分沿った直感的な名前となっていると思う。これら以外の機能チームにもそうした名前が付けられている。これらのチーム名から、Windowsのサブシステムや、われわれがどのように大規模プロジェクトを意味のある複数チームに分割しているかが分かる。
この部分は豊富な情報を提供している。Windows 7のコア領域がうまく整理されており、すっきりしている。また、意外なことではないが、このリストは、Windows Vistaにもすんなり当てはまるはずだ。幾つかのカテゴリー、例えば「アプレットおよびガジェット」や「メディアセンター」などは、Windowsチームにとって何が本当に重要なのかを示している。わたしは基本的にメディアセンターが気に入っているが、よく言っても、その将来は限られている。DVR(デジタルビデオレコーダー)機能はCATVのセットトップボックスに移行してきている。しかし、Microsoftはまだテレビ関連市場をあきらめていない。
概念上は、ガジェットはVistaのユーザー体験を大きく広げるはずだった。だが、Yahoo!などサードパーティーが提供するウィジェットと比べて、Vistaのガジェットが少ないことには驚かされる。これらのガジェットには足が必要なのかもしれない。WindowsからXbox、Windows Mobile、Webへといった具合に歩き回れるように。
率直に言わせてもらうが、マーケティングはどうなっているのか。スティーブンは、Windows 7のすべての領域にかかわる4つの作業カテゴリーとして、コンテンツ開発、製品計画、製品設計および研究、使い勝手を挙げている。だが、マーケティングもその中に入っていなければならない。皮肉はさておいて、マーケティングチームがすべての製品チームそれぞれと連携することをお勧めしたい。
ほかのほとんどのハイテク企業と同様に、Microsoftは機能を偏重し過ぎる一方、ユーザーメリットへのこだわりが足りない。マーケティング計画は、製品開発の後期ではなく、早い段階で開始すべきだ。もっと適切に言えば、ユーザーメリットを製品の設計目標に据えなければならない。メリットとそのマーケティング方針を早いうちに明確にし、開発プロセス全体に組み込む必要がある。
Apple、Nokia、ソニーは、マーケティングをうまく、あるいは適切に行っている企業の例だ。
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