10代やギャルにも「かっこいいヱヴァ」を 新劇場版、モバゲー活用や109ジャックの狙い(1/2 ページ)
アニメ映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」は、6月27日の公開を前に、さまざまな企業とコラボレーション企画を展開し、話題作りに生かしている。
“ヱヴァ携帯”の発売や、Yahoo!JAPANでの特設サイト開設といった大型コラボから、携帯電話向けSNS「モバゲータウン」でのアバター配布、ギャルに人気のデザイナーがデザインしたワンピース発売、東京・渋谷のファッションビル「109-2」のジャックなど、アニメ業界と縁の薄い異業種とも積極的にコラボレーションしているのが特徴だ。
コラボ企画のメインターゲットは、10~20代の若者や女性。アニメ放送時からの10年来のファンや、アニメ雑誌を毎月チェックするようなコアな層の認知は十分ととらえ、新たなファン層を広げる狙いだ。「新劇場版は、テレビシリーズのリメイクではなく、まったく新しい映画。若者にも“前世代のお下がり”ではなく自分たちの文化ととらえてほしい」と、エヴァの版権を管理するガイナックスの神村靖宏さんは語る。
グッズとファンが支えた10年
新劇場版シリーズは、第1作「序」を2007年に公開。27日に公開する「破」は、「序」に続く第2作だ。
「すべてを自分でコントロールしたい」という思いから、庵野秀明監督がガイナックスから独立して設立した制作会社・カラーが自ら資金調達、制作、配給、宣伝をすべてを手掛けている。ガイナックスは、キングレコードとともにプロモーションや外部企業との折衝、商品化を手伝っているというポジションだ。
テレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」(1995~96年放送)から10年以上。当時からハマり続けている20代後半~30代の古参のファンが根強くいる一方で、若いライトなファン層も増えているという。
息の長い人気を支えたのは、関連グッズやファンの口コミだ。綾波レイなどキャラクターのフィギュア、「鋼鉄のガールフレンド」などのゲームソフトやトレーディングカード、パチンコ・パチスロ、プラモデルなどさまざまな関連グッズが登場し、人気となった。
宇多田ヒカルさんや、ロックバンド「BUMP OF CHIKEN」の藤原基央さん、オリエンタルラジオの中田敦彦さんなどエヴァ好きを公言する有名人も多く、グッズや有名人を通じてエヴァを知った若い人がDVDをレンタルし、アニメを見る――という流れで、若年層にもファンが拡大していった。
若年層は、「アニメを見ていることに後ろめたさがない」と神村さんは感じている。「僕らの世代は『いい年こいてアニメなんか見て』と後ろ指さされ、後ろめたかった。だが彼らは、会社の自己紹介で好きなアニメを言える世代。エヴァを純粋に『かっこいい』と感じてくれている」という。
「僕ら世代のコンプレックスの裏返しかもしれないけれど、渋谷の駅前でエヴァやアニメの話をしながら歩いてほしい。女子中学生にもエヴァを好きになってほしい」と神村さんは胸の内を明かす。
モバゲーコラボ、109ジャックも
コラボ企画はガイナックス側から打診することもあるが、先方から提案を受けることの方が多い。先方の担当者にもエヴァファンは多く、自分が欲しいものを積極的に提案してくれるという。商品がヒットすれば映画の話題作りにつながり、制作・販売した企業側の売り上げも上がるという好循環が生まれるというわけだ。
新劇場版のコラボ企画は、以前からのファンではなく、「アニメも当たり前に見る」最近の若者を意識して展開。新聞やアニメ雑誌といった旧来メディアの活用は控えめにし、ネットや携帯サイトでの展開に比重を置いたほか、若者に人気の媒体やファッションブランドと積極的に協業した。
Yahoo!JAPANで特設ページ開設や、ローソンでのコラボレーショングッズ販売、UCCのコラボ缶コーヒー販売といった前作と同様な企画に加え、ロッテリアでヱヴァボトルを発売、ピザハットでのグッズキャンペーンなど、若者が好むファストフード業界とも企画を展開。Webマガジン「DD」で綾波レイ特集を行うなど、女性向けのメディアも活用した。
携帯サイトやファッションブランドとも組んだ。10代に人気のSNS「モバゲータウン」でアバターを販売したり、「mixiモバイル」で壁紙を販売したほか、携帯ECサイト「モバコレ」を通じてさまざまなファッションブランドと協業し、Tシャツやパーカー、スニーカーなどファッションアイテムを販売。ヱヴァキャラをさりげなく配したものが多いが、「いかにもヱヴァ」という一目で分かるデザインもある。
モバコレで企画したファッションアイテムは、渋谷のファッションビル「109-2」などリアル店舗でも販売。同ビルに全高2メートルの初号機フィギュアを置くなど、ビル全体をヱヴァで“ジャック”する企画も展開している。
モバコレを運営するディー・エヌ・エーによると、ヱヴァとタイアップしたファッショングッズは「ほかの映画とのタイアップ商品と比べても売れ行きがよく、即日品切れの商品も出ている」ほどの人気。ヱヴァファンで、ギャルに人気のモデル・星あやさん(24)がデザインしたコラボワンピースを星あやさんのファンが買っていくなど、ヱヴァを知らない若者にも売れているという。
おしゃれなファッションアイテムは、「僕ら世代のアニメファンが最も苦手だったもの」と神村さんは苦笑する。“アニメオタク”を自認するガイナックスの制作陣は、フィギュアやプラモデルなどアニメファン向けグッズの監修には自信があるが、ファッションアイテムの良し悪しは「とんと分からない」という。
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