ひろゆき&夏野コンビ+SFCの学生、三木谷社長に迫る(1/3 ページ)
「マスコミの将来は」「薬のネット販売はどうなる」「楽天はなぜ成功したのか」――6月29日、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で行われた、夏野剛氏(同大政策・メディア研究科特別招聘教授)の講義「ネットワーク産業論」に、西村博之(ひろゆき)氏と、楽天の三木谷浩史社長がゲスト出演した(記事の最後に動画あり)。
夏野氏は三木谷氏と親しく、「ミッキー」と呼ぶ仲。ひろゆき氏とは「ニコニコ動画」運営でタッグを組んでいる。
講義は、学生が三木谷氏に質問し、三木谷氏が回答、夏野氏やひろゆき氏が補足するというスタイルで進行。講義の様子は、「ニコニコ生放送」(ニコ生)でもライブ配信され、教室の前の大きなスクリーンにニコ生の動画が映し出されたほか、PCを持ち込んでニコ生を見ながら講義を聞く学生もいた。
「新聞はなくなり、電子書籍の時代が来る」
「新聞や雑誌などマスメディアはこれからどうなる」――そんな質問に対して三木谷氏は「紙の新聞は確実になくなる」と断言。書籍も利便性が低く、近い将来、電子媒体に取って代わられると述べる。
「電子書籍なら読みたいと思えばすぐ購入でき、読みながら辞書も引けるなど、本より明らかに優れている」。iPodとiTunesの普及に伴い、CDマーケットが縮小したことを例に挙げ、新聞や書籍はやがてデジタル化し、紙の市場は「最短3年、最長10年でなくなる」と三木谷氏は予想した。
「紙の書籍は印刷、製本、配本し、売れなければ返本され、ECサイトで購入しても届くまで数日かかる。新聞は月4000円で、公称1000万部印刷し、折り込みチラシを入れて配布している。本当にそんなことが必要なのか」
ひろゆき氏はこれに反論。「僕は電子書籍があまり好きじゃない。2万円、3万円するものが落ちたら壊れるが、紙の本は落としても大丈夫。ブックオフで買えば100円、200円で買える。コストの問題は解決しないと思う」という考えだ。
加えて、「ネットの使い方を覚える気がない人は、新聞や雑誌などリアル媒体にお金を払って情報を得るしかない。そういう人の方が客単価が高いので、ネットを知らない人に物を運ぶモデルのほうが、商売として楽では」と指摘する。
三木谷氏は、「Kindle」のようなデバイスの登場で、ネットが苦手な人でも電子書籍を手軽に使えるようになり、紙のデジタル化は避けられない流れだとみる。「どうしても紙がいい人は残ると思うが、紙のマーケットがシュリンクするとビジネスとして成り立たなくなり、事業者はやめざるを得なくなる」(三木谷氏)
ひろゆき氏は「音楽はCDが売れなくなり、ライブという代替価値のないものを売る方向に行った」と指摘。同じ考え方を書籍に当てはめると、高付加価値の書籍を高い値段で、限定した数だけ出した方が利益率が高まるのではと予想する。夏野氏も「マスを狙う書籍は全部デジタルになり、金箔付き画集とかニッチなものが売れる」という未来を展望した。
三木谷氏は電子書籍市場の拡大に期待を持っている。「iTunesも有料で使ってる人がほとんど。本が電子化してもある程度の値段は取れるのではないか」
テレビはどうなる
「テレビもこのままでは厳しい」と三木谷氏は言う。「米NBCが立ち上げた無料動画配信サイト『Hulu』のように、これまでのビジネスモデルを変更する勇気が、日本のテレビ局にあるかどうか。既存のテレビの保守的な感じを見ると難しいのでは」(三木谷氏)
夏野氏は「『ネットに勝てるのは生放送しかない』とテレビ局の人が話していたが、TBSは生を増やして視聴率が激減した。電波を持ってて受像機がたくさんの世帯に入っいてポテンシャルがあるのに、生かせていないのはもったいない」と残念がる。
テレビが最も得意とするのは、一斉に大量にコンテンツを配信することだとひろゆき氏は指摘する。「1000万人に届けるメディアとしては、テレビが一番効率がいい。同じことをニコ動でやるとものすごくお金がかかる。ただ、その強みを生かせるコンテンツをテレビ局が思いついていない」(ひろゆき氏)
とはいえ、「趣味が多様化しており、1つのコンテンツを100万人が見るというふうにはいかない」(夏野氏)という現状も。ひろゆき氏は「多様性と勝負するとBSとかCS、ケーブルテレビと戦わなくてはならず、テレビ局は不利。テレビ局の強みは、メジャーな芸能人を安く使え、電波送信コストが安いこと。それ自体を価値として前に出していかないと軒並み負けていくと思う」と話した。
楽天は、取得した東京放送(TBS)の株式に絡む問題でTBSと係争中で、テレビの行方について「コメントしづらい」と三木谷氏が困る場面も。夏野氏が「TBSでいくら損したんでしたっけ?」と突っ込んだり、ひろゆき氏が「楽天としては、TBSの株価上がったほうが得なんだ!(そのため、テレビについてネガティブな発言がしにくい)」と気付くシーンもあった。
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