「畑違い」のGoogle OSへの不安と疑問(1/2 ページ)
Googleは先ごろ、OS事業への参入を決定したと発表した。この記事を書いている時点では、Microsoftはコメントを出していない。だが気になることと言えば、Microsoftの人たちの脳裏にどんな思いがよぎっているのだろうかということくらいだ(わたしの想像では、それなりの笑いが起きているだろう)。
ソフトウェアビジネスで何度も遭遇する問題の1つに、専門外の事業に手を広げようとする企業の問題がある。ソフトウェアの世界ではよく見られる問題だ。ソフトウェア事業を手掛けていない企業が、独自ソフトの自社開発に乗り出すことはままある。わたしはかつて、通信業界向けのソフトを提供する企業で働いていたことがある。その会社は大手の通信企業(世間で名の知られた企業)から依頼を受けてソフトを開発していた。顧客の通信企業はお金を投じて社内でソフトを開発することも可能だったが、そうはしなかった。彼らの本業はソフトウェア事業ではなく、通信事業だからだ。
わたしの親戚に医療業界で働いている人がいるが、彼女の勤める会社が、ITスタッフを雇って患者情報管理ソフトを開発することにした。結果はさんざんだった。ネットワーク管理のために雇われたITスタッフは、コードの90%を1人で書かなければならず、お手上げ状態だった。経営陣はソフトウェアプロジェクトの管理の仕方を何も知らなかった(経営陣は医療のことは知っていた。それが彼らのビジネスだからだ――ソフトウェアではなく)。
Googleは検索を理解している。彼らはオンラインオフィスソフトなど、Webに関連する分野に手を広げてきた。だが、OS市場は理解しているのだろうか? MicrosoftやRed Hatなどの企業から、OS市場での経験が豊富な人を連れてきてOS事業を監督させるつもりなのだろうか?
OS事業は非常に競争が激しい。MicrosoftはWindowsを世界中のコンピュータに載せるためにどんなことでもやってきたし、既にPCメーカーと大規模な契約を結んでいる。ハードメーカーは積極的にWindowsとLinuxを捨ててGoogleのOSに乗り替えるだろうか? しっかりしたビジネスモデルがなければ、PCメーカーは乗り替えようとしないだろう。彼らが最も望まないのは、「賭に出て大量の(Chrome OS搭載)PCを投入したけれど、結局ユーザーは店に入るとまっすぐにWindows PCに向かっていく」というような状況だ。まさに大失敗だ。
それに、人々は変化を望まない。新しいOSはクールかもしれないが、みんなは既に今のOSに慣れているから、変化には抵抗する。「わたしがよく知っているMicrosoft Wordはどこ?」というわけだ。使い慣れるまでに時間もかかるだろう。Googleはそう思っていないかもしれない。Chrome OSは明らかにシンプルなOSになるだろうし、ChromeブラウザがメインのGUIになるからだ。しかし、ここが心配なところだ。ユーザーはWindowsのタスクバー、スタートメニュー、デスクトップのアイコンになじんでおり、必要なソフトにたどり着く方法を知っている。それをすぐに簡単に変えられるだろうか? リーナス・トーバルズ氏が、「ユーザーはばかだと決めてかかっている」とわたしたちを非難したことがあった。彼の懸念は確かにもっともだが、そこには境界線がある。コンピュータを使わなければならないけれど、「コンピュータの達人」でないユーザーは、新しいものを簡単に習得して、すぐに乗り替える(WindowsからLinuxに乗り替えるように)ことはないだろう。
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