「OAuth」とは 日本のユーザー襲った“Twitterスパム”の正体(2/2 ページ)
ユーザーができる対策は
現時点でユーザー側ができる対策としては、OAuthに限らず、よく分からないページが表示されたら、安易に手順を進めないことだろう。
今回のようなスパムの場合、知人からのDMなら、Twitter以外の手段で、その内容について相手に確認するのがいいだろう。知り合いでないユーザーからのDMだった場合はそもそも怪しいと思った方がいい。有名人のアカウントからのDMだったとしても、どうか冷静でいてほしい。
OAuthの認証だと分かった上で、リスクを承知でアクセスを認可する場合は、アクセス権の提供先となるサービスの素性を調べてからにしてほしい。MobsterWorldの場合、スパムDMのURLをクリックした先はほとんど説明書きのないページで、運営元へのリンクすら存在しなかった。素性の怪しさでいえば、これ以上ないページだった。
また、Twitterのように他人と関わりあうサービスだったり、重要な情報が含まれるアカウントの場合は、OAuthの認証には慎重になってほしい。なりすましや情報漏洩(ろうえい)時の被害が大きくなりがちだからだ。
スパムDM以外にも危険性が Twitter側は対策すべきではないだろうか
今回、スパムDMを断りなく送ってしまったことはアカウントの乗っ取り行為ともいえるだろう。乗っ取り行為がエスカレートすれば、DMの送信だけではなく、DMの受信履歴を勝手に読み取ったり、非公開状態の発言を勝手に利用したりなど、さまざまな悪用が可能になってしまう。
さらに、OAuthの権限を機械ではなく人間が操作すれば、何でもありだ。例えば、“乗っ取り主”がアカウントの所有者を装ってつぶやいたりDMを送ったりすれば、受け取った側はなりすましに気づくことは難しい。ユーザーが勝手な行為に気づいてアクセス権を取り下げるか、Twitter側が止めない限り、乗っ取り状態は続くだろう。
OAuthでの認証は、アカウントのほとんどすべての権限を渡すことになり得るのだから、Twitter側は認証時に、ユーザーに対してもっと危険性を伝えるべきだろう。
例えばOAuthの認証画面で「本当に、このサービスを信頼した上で、アクセス権を渡してもよいか?」と問いかけるようなデザインなら、ユーザーの手が止まったかもしれない。ほかにも、認可する場合はチェックボックスのチェックを必要とさせたりと、あえてひと手間かけさせてユーザーに意識させるのも有効だと思われる。
インターネットへの接続がダイヤルアップだった時代、勝手にダイヤルQ2の有料番組へ接続するソフトをユーザーにインストールさせる手法がはびこっていた。インストールの確認画面には、読むはずもない利用規約ととも「はい/いいえ」のボタンが表示されるだけだった。今のOAuthの認証画面に似ているといえないだろうか。
今では、こういった手口に対しては、ほとんどのWebブラウザが派手な警告を出すようになっており、それと知らずにインストールしてしまうケースは減ったと思われる。
OAuthもこのようにWebブラウザで対応できればよいが、OAuthの確認画面はただのWebページなので、現時点でブラウザがOAuthを認識するのは困難だ。やるとしたら、OAuthの確認画面で、HTMLやHTTPを使ってOAuthの認証ページだということを知らせるヘッダを出力してもらい、ブラウザがそのヘッダを確認したら警告を出すようにするなどの対応が必要になる。現在、そのような仕様はないので、OAuthを提供するサービス側が確認画面で対策してくれるのを期待するしかない。
OAuthの提供側がサービスを審査する機構を設けるという手もありそうだ。審査は任意にして、審査に通ったサービスに対しては、OAuthの認証画面に「審査済み」といったマークを表示すれば、ユーザーは安心して認証できるかもしれない。
Webサービス間のマッシュアップが普及し、OAuthのような仕組みを通じてユーザーのアカウントまでもがマッシュアップ対象になった今、新たなセキュリティ意識が必要とされているのだろう。
秋田真宏
1981年石川県生まれ。Webサービスエンジニアで、2009年8月よりフリーランスとして活動中。
個人サイトakiyan.comを運営。個人でアクセス解析サービスやマッシュアップサービスなどを公開している。個人サイトのブログは、「今までの認識を覆す、分かりやすい記事を書く」ことを目標にしている。
著書に「Fast CakePHP」、共著に「Twitterの本」。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR