麻倉怜士のデジタル閻魔帳
3Dテレビの“鉄則” 視聴編(1/2 ページ)
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Blu-ray 3Dに3D放送、3Dゲーム――3Dテレビの登場とともに新しいメディアも動き始めた。しかし、それは同時に新しい課題も出てくるということだ。今回は、AV評論家・麻倉怜士氏に、3Dテレビを見るときに守るべき”三原則“を解説してもらった。
――これまで2社の3Dテレビをチェックしてきましたが、従来のテレビとは異なる課題も見えてきました
麻倉氏: 3Dテレビの登場は、新しいメディアとその視聴環境を創出することでもあります。Blu-ray 3Dだけではなく、3Dゲームや3Dのデジタル放送などは新しいメディアなのですから、従来にない問題点が出てくるのは当然です。メーカーがどのように対処しているかも3Dテレビの見どころと言えます。
1つめは、フリッカーの問題。画面のチラツキもそうですが、例えばインバーターのない蛍光灯を使用している家でパナソニックの3Dメガネを使うと蛍光灯からチラツキを感じます。調光機能付きのLED電球でも同様のようです。
2番目はクロストーク。画面に右目用の絵だけを表示しなければならないタイミングで左目用の絵が混ざってしまうと二重像となり、3D映像の品位を大きく損ねてしまいます。クロストーク対策に関しては、各メーカーとも力を入れていますね。
3つめは画面の輝度です。3Dテレビでは、左右の映像を交互に表示するため、1枚の表示時間は半分。クロストーク対策でさらに半分になってしまいます。また、3Dメガネによるロスも大きい。シャープの試算によると、メガネ越しでは見た目の輝度が通常の10分の1になってしまうそうです。
画質的には、解像度やコントラストも問題として挙げられるでしょう。3D放送では、サイドバイサイドを使いますので、横方向の解像度は半分になってしまいます。そしてコントラストは、レンジが広いか狭いかが3Dの見え方に影響します。
前回の繰り返しになりますが、表面反射の問題も指摘しておきたいと思います。現在の液晶テレビメーカーでは、シャープのみずっとノングレアですが、東芝や三菱電機などはグレアコートを採用しています。明るい環境で3Dテレビを見ていて、画面が暗いシーンになると、自分がばっちりと映り込んでしまいます。3D映像は、メガネかけて一生懸命見る“凝視コンテンツ”ですから、これはストレスです。やはり3Dテレビ用の表面コーティングを開発してほしいですね。
――3Dテレビは消費者の評価も高いようですが、視聴時にはいくつか注意しなければならないことも分かってきました
麻倉氏: 先日、フジテレビの「とくダネ!」という情報番組(4月22日放送)で、発売されたばかりのパナソニック製3Dテレビを一般のご家庭に持ち込むという企画がありました。私も解説役として出演したのですが、印象的だったのが初めて3Dテレビを見た方のリアクションです。決してやらせではなく、自然に驚いていましたね。コンテンツは石川僚選手のゴルフ映像。立体効果が高く、とっつきやすかったと思います。
その番組で、3Dテレビの視聴時には守らなければならない大事なことが3つあると言いました。
1つは、画面の高さの3倍の距離からみるということです。例えば50V型のテレビは画面が縦60センチほどですので、1.8メートルの距離をおくようにします。これは、今年に入ってから各メーカーが協議して決めたことで、3Hの距離で見たときに最も3Dの効果が出る(=制作者の意図に沿った効果になる)ように調整しようと合意したわけです。3Hというのは、ハイビジョンテレビの適正視聴距離と同じですから分かりやすいですよね。では、3Hを無視するとどうなるかといいますと、画面に近づくほど3Dの効果が薄れ、逆に離れると効果が極端に不自然になっていきます。
2つめは、画面のセンターに目線をおくことです。そして3つめは、頭を傾けないこと。例えばソニーの3Dテレビでは、インバーナーなしの蛍光灯があってもフリッカーが出ない反面、頭を傾けたときにクロストークが出てきます。逆にパナソニック製品はメガネに偏光膜を使っているため、傾けてもクロストークは出にくいのですが、やはり変な感覚になります。なにか、頭の中が不安定になるような気がします。先ほどの番組に出演されたご夫婦にも顔を横にして見てもらいましたが、やはり「変だね」と言っていました。
3Dテレビを見るときは、画面から1.8メートルの距離で正面から画面のセンターを見て、頭は傾けない。こうした注意点を並べてみると、3Dって少し窮屈な文化かもしれません。視聴姿勢が制約されますから。
さらに大事なことは、5歳までの子どもに3Dテレビを見せてはいけない、ということです。幼児は立体視の仕組みが、頭の中でできていく過程にあります。その不完全な状態で人工的な3D映像を見続けると、その正常な発達に影響する可能性があります。これは非常に大切なことです。
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