麻倉怜士のデジタル閻魔帳
テレビはもう、次のフェーズへ IFA総括(2/4 ページ)
――展示機の画質はいかがでしたか?
麻倉氏:やはり有機ELはコントラスト性が際立ちますね。展示機は見栄え重視の“ショーモード”設定なので画質評価は難しいのですが、黒が深く、白のピークが伸びているのは確かです。表示していた絵柄は両社ともとても似ていて、黒を背景にしたハイコントラストの映像。液晶テレビでもコストをかけてローカルディミングをがんばると対抗できるのですが、最近ではほとんどの製品がエッジライト方式になっているため、ここまでのコントラストの実現は難しいでしょう。また有機ELパネルは視野角も有利ですから、展示では壁を背負わせず360度どこからでも見られるようになっていました。
IFAを見ると、一世を風靡した液晶テレビの次に必ず有機ELがくると、ひしひしと感じます。液晶テレビもリーマンショック以前は投資ができたので画質も上がり続けましたが、今は実質的に進化が止まっています。しかも、価格競争の激化でコストをかけられなくなっているため、かなりレベルの低いところで進化が止まってしまいました。今後、飛躍的に改善するとは考えにくい状況です。そうした状況の中で、自発光ならではの高品位な画質を持つ有機ELが注目を集めるのは当然でしょう。日本メーカーでもソニーとパナソニックの協業という話があるので、来年のIFAにはぜひ日本メーカーも出してほしいと思います。
アプコンの質が4Kテレビの価値を高める
麻倉氏:もう1つのトレンドは、テレビの解像度の変化です。4K×2Kの世界がいよいよテレビにも入ってきました。
IFAではソニーと東芝が84V型の4Kテレビを披露しましたが、これはLGディスプレイ製のパネルを採用しています。1月の「International CES」のとき、シーザースパレス(ハリウッドのホテル)のプライベートスイートで披露して採用が決まったものです。そのため今回のIFAでは、ソニー、東芝、LGディスプレイの3カ所で展示していました。
ただし、展示方法は違います。LGは4K撮影のネイティブコンテンツが主体なのに対し、ソニーと東芝は2K映像のフルHDからのアプコン表示に力が入っていました。現状、4Kネイティブコンテンツが市場にないのですから、これは当然でしょう。両社とも、“2K環境のおける最高のテレビが4Kである”とプッシュしていました。
麻倉氏:画面が60インチを超えると、人の目はフルHDでも画素が荒いと感じます。超解像技術を伴うアップコンバートにより、2Kの映像をより高精細にすることで、同サイズのフルHDテレビよりも遙かに美しい映像を見ることができる。それが証明できれば、4Kテレビには大きな価値があることになりますね。つまり「最高のフルHD画質」ということです。今回、東芝はお得意の超解像技術にテクスチャーと光沢感を加える技術を加えてトータルな画質を磨きました。4Kテレビに対する本格的な取り組みが見えてきたといえそうです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR