潮晴男の「旬感オーディオ」
“大人の音”に生まれ変わったKEFの新「Qシリーズ」(2/2 ページ)
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
ミッドレンジのドライバーに関しては、ラバー製のサラウンド(振動板周辺のエッジ部分)に壁を付けた「Gフレックス」と呼ぶ形状を与えることで、正確な動作とひずみの低減を可能にしたほか、この壁が高音域の拡散を手助けしている。
振動板はアルミニウムを強化したアルミアロイなので剛性は高いが、このままだとピークが出るため、コーンの付け根部分にラバーを加えて再生周波数の下端でのひずみの発生を抑える工夫もなされている。以前はそのピークの調整をネットワークで行っていたということだが、その必要性もなくなり、一段と素直な特性を得ることができたようだ。
エンクロージャーのサイズも前作と同じだが、外装の仕上げが厚手の付き板に変更されていることも音質のアップに寄与している。前作からエンクロージャーの形状がスクエア形に変わっているが、これは容積をアップしユニットの能力をより引き出したいという彼らの方針だ。
ゆったり過ぎるくらい悠々と奏でるベートーヴェン
QVupシリーズは、どのモデルも前作に比べると鳴りっぷりが良くなっている。とりわけ「Q-900Vup」にはそうした進化がはっきりと見て取れる。視聴には、クリスチャン・ティーレマンがウィーン・フィルを指揮したベートーヴェン・チクルスから、ぼくの好きな第6番「田園」を使ってみたが、なんともゆったり過ぎるくらい悠々と鳴るのだ。
このタイトルはBDもCDもリリースされているので、どちらも視聴した。BDはdts-HD MAの5.0チャンネル音声と96kHz/24bitのリニアPCMの2チャンネルの音声が収録されている。当然CDとの比較においては圧倒的にBDの方が音が良い。フォーマットが違うんだから当然といえば当然だが、その違いもこのスピーカーは克明に描き出す。もっともCDの音が悪いというのではなく、BDの方がより臨場感というか、演奏会場であるウィーン・フィルの本拠地、ムジーク・フェラインのホールの響きを良く描き出すのである。
しかし今回は、BDが良いね、とばかりもいえなかった。どうしてかというと、映像があるとクリスチャン・ティーレマンが少しばかりうっとうしいのだ。彼のファンには申し訳ないが、サイのような巨体が目の前で動くとちょっと厳しいなぁ。その点、CDは安心して聴ける。ウィーン・フィルの演奏は素晴らしいし、音も良い。加えてBDはカメラワークもあまりいただけません。というわけで、BDの音だけ聴くという方法論もなくはない。演奏会場に行って、感極まり目を覆って音楽を聴くこともあるわけだから、それはそれで良いのではないかと思う。
Q-900Vupは、音の深い部分まで再現できるようになった。ウィーン・フィルの弦楽器の音色も豊かに描き出すが、その豊かさはこの価格帯において抜きんでていると思う。それは音楽のファンダメンタルな部分を丁寧に捉えることができるようになったことと相通じるし、このモデルのもっとも進化した部分だ。前作があればこその新作……、Vupシリーズほどそう思わせる製品はないと思った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
潮晴男の「旬感オーディオ」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR