潮晴男の「旬感オーディオ」
大きくなったニンジンは“好き嫌い”のない素直な音――Carot One「ERNESTOLONE」(2/2 ページ)
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
小細工のない、素直な音
ペトゥラ・クラークのCDアルバム「ロスト・イン・ユー」から1964年の大ヒット曲「ダウンタウン」のセルフカバー・バージョンを聴いてみた。デビュー当時のオリジナルとは一味もふた味も違う、スローバラード調にアレンジされたこの曲は落ち着きがあり、彼女のボーカルを丁寧に捉えて聴きごたえも十分。さすがに大出力アンプのようなこれでもかという凄味は出ないが、定格出力25ワットの割にはドライブ能力があり、バランスも良いし低域の表現も必要にして十分。ブーストしたり色付けをおこなったりという妙な小細工がなく、素直なのでボーカルにつけられたリバーブがきれいに消えていく感じも心地よい。
エルネストローネは、前作のエルネストーロと同じく、二階建て構造で上のボックスに真空管、下の建屋にDクラスアンプが配置されている。真空管のソケットの中央部にはブルーのLEDがセットされ、あやしく輝く。また真空管のヒートアップが完了し正常な動作状態になるとパイロットランプがブルーに光る。この辺りの待たされ感も真空管を使ったアンプらしい部分だ。
日頃は省エネを実践しても、ことオーディオになるとエコよりエゴだ、趣味の世界だけは自由にさせてくれと、時流に抗する発言をしていたぼくも、エルネストローネを聴いて少し反省した。モデル名通りの小さな巨人には考え直させられるところがいっぱいあったというわけである。
リモコンもなく、アナログっぽい手元型のアンプだが、電気代を気にせず楽しめるから、深夜にゆったりとCDを聴くのにこれほど最適なモデルもないと思う。USB-DACも備えているから96kHz/24bitのハイレゾ音源にも対応する。さらにヘッドフォン用に別建てのアンプが用意されているという凝りようにも感心させられた。そしてもうひとつ、本体スペックとは関係ないことだが、コンパクトなのに入力端子やスピーカーの出力端子が特殊な形状ではなく、標準品が使われていることもうれしかった。当たり前のようだが、これって意外と大切なことなのである。
実のところ、ぼくも子供のころ、ニンジンはあまり好きじゃなかった。甘ったるくて少し苦い、なんというかお薬みたいな味にいまひとつなじまなかったけど、エルネストローネのサウンドのように美味だったら、もっと早くから食べられるようになっていただろうなと思う。それでは栄養たっぷりのサウンドとともに、今夜はどんな音楽をこのアンプに奏でてもらいましょうかね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
潮晴男の「旬感オーディオ」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR