洋画鑑賞、あなたはどちら派? 近頃の字幕/吹替事情
今年最大の話題作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の公開が迫り活気づく映画界。ところで洋画に欠かせない字幕と吹替、皆さんはどちら派ですか。
筆者は劇場観賞は字幕派、自宅観賞は吹替派です。映画館で洋画観賞はひと昔前までは字幕が常識でしたが、ここ20年のシネコンの普及、3D映画の登場、又若者の活字離れなどさまざまな要因で洋画の字幕上映に劇的な変化が起こっているようです。
「映画館は字幕」で慣れ親しんできた筆者は寂しい気もしますが吹替にもさまざまなメリットもあるよう。昨今の洋画・字幕&吹替事情に迫りたいと思います。
吹替9割? 字幕は3割!?
演じる俳優達の声を聞くことができ、映画全体をリアルに観賞できるのは断然字幕、と思ってらっしゃる方は多いと思います。
実は映画の内容(セリフ)の理解度は吹替の場合9割、字幕の場合は3割だそう。もちろん理解度は個々により差はありますが、専門家によるとこの数字が妥当なようです。字幕の場合、人が1秒間に読める字数は3~4文字、1行は13文字位まで、などさまざまな制約があるためどうしても意訳が多くなり、細かなセリフのニュアンスが伝わらない場合も多いそう。また、ちょっと目をそらした時に字幕を読み損じてしまうこともあるので、セリフから理解する、という観点からだと理解度はこんな数字になってしまうのかもしれません。
でも映画のストーリーはセリフだけで語られるものではありません。俳優達のセリフの間や動き、情景や音による描写でもストーリーは語られるものです。字幕の良さはやはり替え難いものだと思います。
と、ついつい字幕贔屓になってしまう筆者ですが、吹替にも魅力を感じる事があります。一番の魅力は画面に100%集中できることです。耳からスッと入るセリフは聞き損じてしまう事も少ないですね。
そして言える事は面白い映画は字幕でも吹替でも面白いのだと思います。よく言われる事ですが、セリフでストーリーを語らせる映画はつまらない、という事です。良い映画は俳優達の表情や動作、丁寧な情景描写で充分伝わるものです。例えば朝の忙しい様子は俳優達が慌ただしく動き回ったり、時計の針がどんどん進む画面などで伝わりますが、最近の映画は俳優達に「あー、忙しい、忙しい」などと喋らせてしまったりしますね。こんなセリフは字幕で目から入っても吹替で耳から入ってもつまらないセリフです。
吹替は字幕の制作費の5倍以上かかるという面もあるので、すぐに吹替100%になってしまう事はないと思いますが、現在の字幕・吹替、好きな方を選べる状況がずっと続くと良いですね。
字幕文字、手書きからフォントへ。分岐点は「A.I.」。
映画字幕のあの味わいのある独特の文字、2000年頃を境に変化していたのをご存知ですか。それまでは専門の職人たちによる手書きでしたが2001年公開のスティーブン・スピルバーグ監督「A.I.」からフォント(写植文字)になっていったそうです。
手書きの場合1行ごとに1枚のカードに書き、それを凸版にし、薬品でフィルムを溶かし文字を抜くそう。そのため1文字の中に必ず隙間を作らなくてはならずあのような独特な字幕文字になったのですね。1本の映画につきこの1行書いたカードが約1500枚ほど必要なのだとか。それを1枚1枚フィルムに焼き付けていくのは大変な労力ですね。
時は流れ技術は進歩、2000年頃からフィルムにレーザーで焼き付ける方法が開発され、あの文字の独特な隙間が必要でなくなり、フォントが使えるようになりました。でも独特な字幕文字は健在です。字幕職人の第一人者・佐藤英夫さんが書き起こした文字を元に作られたフォントが今でも主流だそう。
今では何種類ものフォントがあるそうで、映画配給会社のスタッフ達が映画の内容にあったフォントを選んでいるそうです。やはり慣れ親しんできたあの独特の字幕文字が選ばれる事が多いようですが時々ゴシック体なども見かけるようになりました。ちょっと味気ない気がするのは筆者だけでしょうか。
字幕&吹替の賛否両論
自宅で観賞する時はどうしても「ながら」観賞が多くなり、ここ10年ほど自宅で海外ドラマにハマっている筆者は吹替の面白さにもハマっています。なんと達者な声優さん達が多い事か。ロス市警勤務の味のある中年刑事が「こちとら……」「……っつう寸法だ!」など、独特の下町言葉を使うのですが全く違和感がないのです。声優さん達が担当の俳優のキャラクターを深く理解し、時には同一化してるかのように聞こえるほど。
しかし、この日本特有の下町言葉を使う、日本にしかない文化に置き換えた言葉を使う事に違和感を覚える人もいるようです。例えば最近ヒットしたコメディ映画「テッド」。コメディ映画ならではですが、アメリカのみで流れているCMなどのギャグ、コメディアンのギャグのモノマネなどが多かったそう。これをそのまま訳しても日本人には全く理解できませんよね。なので翻訳者が似たようなもので……と、くまモンに置き換えセリフに混ぜたところ「アメリカにはくまモンはいない!」と、指摘され取りやめになったとか。
でも逆に考えてみて下さい。現在大流行中の「安心してください」これだけで日本人ならいろんな意味を受け取り笑う事ができますが、海外の方には全く理解できないのでは。きっと、似たニュアンスの私達の知らないギャグに置き換えられているのではないでしょうか。
また、最近必ず賛否両論がわき起こるタレントの吹替。その道のプロではないタレントや俳優、時にはアイドルが吹替を務めることも。筆者もやはり声優による吹替が望ましいのでは、と思いますが、声優独特の達者すぎる(?)セリフ回しより自然体なタレントや俳優も時には良いのでは、という声もあり、あえてその「自然体」を狙い吹替をキャスティングする制作者もいるようです。しかし、大体の目的は話題のタレントを起用する事によりマスコミに取り上げてもらえる、という宣伝効果が狙いのようです。いろいろ「大人の事情」があるのですね。
よく言葉は生き物と言いますね。その時代時代に合った翻訳をつけるのは字幕であれ吹替であれ同じように大変な労力ですよね。たずさわる方々は日々、鍛錬なさっているのだろなぁと思います。洋画・海外ドラマ好きの筆者にはなくてはならない存在の方々です。今年もたくさんの映画や海外ドラマを観て活力をもらいました。今年もお世話になりました。また来年も素敵な映画や海外ドラマに出会いたいですね。
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