潮晴男の「旬感オーディオ」
“定番”の安定感と革新性――両方を突き詰めたデノンのプリメインアンプ「PMA-2500NE」(1/2 ページ)
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定番商品、定番モデル、これを買っておけばまず安心……。そんな製品がオーディオの世界にも存在する。デノンの中核を担うプリメインアンプはその代表格だ。1996年にリリースした「PMA-2000」に始まる「2000シリーズ」に彼らは大幅なグレードアップを果たした新製品を投入する。
資料によると、「PMA-2000」は1998年に「PMA-200 II」になり、1999年に「PMA-2000 III R」へとバージョンアップ、その後2005年にスタイルも一新した「PMA-2000AE」へと進化を続けてきた。そして今回「PMA-2500NE」へとそのDNAが受け継がれることになる。モデル名を見ても分かる通り、2000シリーズ初の2500番、しかも前作から10年という時間を経ての新製品だけに注目は必至である。それにしてもPMA-2000AEはロングランのモデルだったんですねぇ。
プリメインアンプは今、アナログ信号だけを受け付けるのではなく、ハイレゾを初めとするデジタル信号にも配慮しなくてはならなくなった。もちろんUSB-DACにそうした仕事を任せてアナログ信号に専念する方法もあるが、デノンはオールマイティの札を切った。USB-B、光、同軸のデジタル信号端子を設けて、汎用性を高めた作りにしたのである。そのため本体前面に小窓を配置し、入力されたプログラムソースの表示を行う。残念ながらボリュームの数値は出てこないが、その代わりボリュームノブは上位機同様に大型化され視認性を高めている。
デノンのプリメインアンプをもっとも特徴づけているのが、パワー段にUHC-MOSという大電流を扱うことのできるデバイスを使っていることだろう。そして愚直と言っては失礼ながら、このデバイスからさらなる可能性を引き出すべく、長い時間をかけ徹底して使い倒してきたことも他にはない特徴だ。このモデルもその点に変わりはないが、上位機の開発で培った技術を積極的に取り込み、このクラスで再び不動の地位を築くための細やかなアプローチが行われている。パワーブロックの回路や構造を見直し、電源ラインの最短化を推し進めてノイズ特性や立ち上がりを改善したほか、高速熱帰還回路を加えて熱変化を抑制し安定した動作を実現している。
回路及び構造の見直しでこれまでのモデルから大きく変わった部分は3つ。1つは前段増幅用のフラットアンプをなくして1段増幅のハイゲインアンプにしたことである。よりシンプルな構成になったことでクリアネスが向上している。2つ目は電源回路の基板だ。これまでは複雑な給電経路を辿っていたが、これを一新しダイレクトにロスなく供給。そして3つめが最前に触れた高速熱帰還回路の新設である。パワーブロックのドライバ段と出力段を銅プレートで熱結合しアイドリング電流の安定度を高めて動特性を改善している。
その他にもこのモデルのテーマとなる“シンプル・アンド・ストレート”思想を様さまざまなところに展開していることも特徴だ。電流リミッター回路を省略して瞬時電流供給能力を向上。カップリングコンデンサーを排除したDCアンプ回路の採用、信号ライン、電源ラインの最短化によるSNやダンピングファクターの改善、そしてインプット基板、パワーブロックのドライバ段の基板を一新することで、信号経路が短くなり、あわせて基板そのものが小さく仕上がっている。
小さくなるということは信号経路が短くなり音の純度が高まることを意味する。それにしても改めてデノンがこの点を強調するのには訳がある。これまでにも彼らは同様の手法を取ってこなかったわけではないが、いずれも増改築に相当するものだったため、それなりの制約を受けていたという。PMA-2500NEはそうした手法ではなく、いったん更地にしてそこに新築の家を建てる、方法に変えたことからこうした大胆な切り込みが可能になったのである。
しかしながらいくら言葉で説明されても実態が伴わないと、なんじゃこりゃになってしまうが、さすがに彼らが威信をかけての新製品は期待を裏切らないサウンドを聴かせてくれた。
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