潮晴男の「旬感オーディオ」
90年の歴史に裏付けられた最新の“ラックス”――ラックスマン「L-590AXII」を聴く(1/2 ページ)
1925年に大阪で誕生したラックスマンは、今年90周年を迎える。原点は「錦水堂額縁店」のラヂオ部。ブランドとしてのラックスはその翌年に生まれたが、社名になったのは1961年のことだ。そしてここから本格的にオーディオアンプの製作に乗り出す。最初のプリメインアンプは「6BQ5」という出力管を使った「SQ5A」である。SQ5Aは改良を施され「SQ5B」へと進化するが、驚くことにこのモデルは今でも修理の依頼が舞い込み、ラックスマンでは実際に修理を行ってユーザーの元へと送り届けているという。多くのオーディオファンがラックスマンの製品に信頼を覚える理由はこうしたところにもあるのだろう。旧製品にも彼らはそっと愛の手を差し伸べているのである。
ラックスマンは当初ブランドのロゴマークだった。1966年にリリースされた真空管のアンプから使われているが、それが社名に変わったのは2000年のことだ。だから今でもぼくの周りにいるオーディオマニアくん達はラックスマンでなくラックスと呼ぶ。おそらくこの名前を聞いて懐かしいと感じる人は、相応のオーディオに関する履歴をお持ちのはずだ。その履歴が持続している人もあれば、ぼくの友人のように、しばし棚上げというご仁もおありかもしれないが、それほどにラックスマンというブランドはオーディオの黎明(れいめい)期からオーディオファンが憧れた由緒正しいブランドなのである。
ここで紹介する「L-590AXII」というプリメインアンプは、彼らが自信を持って送り出す最新モデルである。デバイスが真空管からソリッドステートに変わっても、音作りとデザインを大切にした物づくりは何ら変わるところがない。音質にしてもデザインにしても徹底して細部にまで目配せするDNAが受け継がれていることがとてもうれしい。木を見て森を見ずではなく、彼らは木も見るし森も見ているのだ。
「L-590AXII」は、モデル名のとおり“マークII”である。というからには“マークI”が存在するが、その違いはわずかに赤文字の「MARK II」とメーターを囲む金のラインだけ。あとはメーター位置からつまみのデザインまで同じだ。だから内容的にもそれほどの変化はないように見えるが、この奥ゆかしさにもラックスマン・スピリッツが潜んでいる。
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