潮晴男の「旬感オーディオ」
90年の歴史に裏付けられた最新の“ラックス”――ラックスマン「L-590AXII」を聴く(2/2 ページ)
マーク IIへの進化は、ICで構成されていたプリアンプ部をディスクリート化し、アッテネーターのバッファーアンプを改良してダイナミックレンジとS/Nをアップした。電源トランスの向きを変えてまで電解コンデンサーを8基並べて容量を倍増し、A級動作のパワーブロックのドライブ能力を高めていることも特徴だ。このほかラックスマンのオリジナルとなる出力信号の歪(ひずみ)成分だけをフィードバックする負帰還回路により高域の歪の低減もおこなっている。また前作ではいささかお飾りに甘んじていたメーターも実用性を兼ね備えたVU計としての動きを持たせたことも新しい。
温かみのあるサウンドに筋肉質な部分をプラス
ケルティック・ウーマンのCDアルバム「エメラルド・ミュージック・ジェムズ」から「ユー・レイズ・ミー・アップ」を聴いてみる。表現力の豊かな収録がなされた作品だが、「L-590AXII」はスーザン・マクファーデン、リサ・ラム、クロエ・アグニューという声質の違う3人の澄んだボーカルを丁寧に描きだす。ハーモニーもとてもきれいだ。アンプ全体のSN感が上がって細かい音の情報をしっかり捉えることができた成果といってもいいだろう。スピーカーとスピーカーの間の音の密度も濃いし収束感も高い。マレード・ネスビットのフィドルの音色もきりっとしていてフレッシュである。
前作の「L-590AX」を聴いた時にも感じたことだが、ラックス時代の温かみのあるサウンドに筋肉質な部分がプラスされ、音の質感表現が新たなステージに入ってきたことをうかがわせる。
「L-590AXII」は2005年にリリースされた「L-590A」から続く4世代目の成熟モデルだ。前述したように細部の変更により信号処理回路も設計し直しているので、価格は前作から5万円アップした。しかしながらこのサウンドをひとたび聴けば、そのパフォーマンスの向上に誰しも納得することと思う。このプリメインアンプの音には紛れもなくラックスマンの顔がある。しばしオーディオをお休みしていた人にはぜひとも体験してみていただきたい1台である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
潮晴男の「旬感オーディオ」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR