CiNii、論文データの提供を再開 「利用者の利便性を考慮」
国立情報学研究所(NII)は4月10日、論文検索サービス「CiNii(サイニー) Articles」で、停止していた論文PDFデータのダウンロード提供を一部再開した。3月までCiNiiで公開していた全約378万件の論文のうち、約110万件の提供を再開。「J-STAGE」への移行が完了した論文も含めると、約199万件が閲覧可能になった。残りの論文についても、学会などと協議し、可能なものは再公開する予定だ。
NIIは「利用者の利便性を考慮し、論文データ提供の再開を決めた」という。
CiNii Articlesは、論文などの学術情報で検索できるデータベースサービス。1997年以降、紙の論文を電子化し、PDFデータを無料公開する国の事業「電子図書館事業」(NII-ELS)を進めており、約378万件の論文(紀要を含めると約430万件)を電子化・公開してきた。
NII-ELSが17年3月で終了したため、論文データの提供は17年3月28日に停止。論文の多くは、科学技術振興機構が運営する論文プラットフォーム「J-STAGE」に移行予定だったが、移行作業は遅れており、3月28日以降、多くの論文がオンラインから閲覧できない状態になった。
「CiNiiから論文が消えて困った」――4月以降、学生や研究者などからこんな声が広がった。これを受けNIIは、科学技術振興機構と協議。経過措置として、J-STAGEへの移行作業が完了するまで、CiNiiからの論文ダウンロード機能を再開することにした。
ダウンロード提供を再開したのは、CiNiiで公開していた論文全378万件のうち、J-STAGEに移行できていない論文(約22万件)と、学会誌の発行終了などで移行予定がない論文(約88万件)の合計約110万件。J-STAGEへの移行が完了した論文(約89万件)はCiNiiからJ-STAGEへのリンクをたどれば従来から閲覧でき、計約199万件が閲覧可能になった。
J-STAGE以外に移行予定だったり、学会で移行方針が決まっていなかったり、NII-ELSで有料提供されていた論文は公開を停止したままだが、NIIは今後、各学会や科学技術振興機構と協議し、無料公開が可能なものについては、ダウンロード機能を提供する方針だ。
NIIは「NII-ELSの終了に伴い、利用者のみなさまにご不便をおかけしている」と謝罪。終了については事前に周知に務めてきたが、「案内が行き届かなかったためご心配をおかけした」と詫びている。
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