ARをアニメで表現する難しさ――「劇場版ソードアート・オンライン」制作裏話、伊藤監督に聞く(2/5 ページ)
――AR端末「オーグマー」は、どのようにデザインしたのか。
伊藤監督: オーグマーは、川原さんのプロット段階では、一般的なヘッドフォンの形が想定されていました。ただ、ファーストインプレッションで「これを付けながら戦うのはどうかな」と思い、川原さんに「ちょっと変えてよいですか」と話をして、ソニー製品のデザインを担当している方々と打ち合わせをしました。
――ソニーの方々からは、どんなアドバイスがあったのか。
伊藤監督: まずは「もっと軽く小さくしたい」と。漫画「ドラゴンボール」に登場する「スカウター」のサイズが理想でした。実際にソニーの方々は、そうしたデバイスの研究をしていて「監督が思い描くより先に研究していましたよ」とも聞きました。ただ、そうした研究は10~20年先を見据えたもので、研究している人たちは「今すぐには成果が出にくい」のだと。「アニメの世界に、研究中のデバイスを、ある意味成果物としてお披露目する機会ができて、とてもよかった」と喜んでもらえました。幸せな出会いだなと思います。
最初の打ち合わせの後、ソニーの方々には「SAO」を見ていただいて、「世界観が分かりました」と言ってもらえました。それからは「こんな素材が使われているはず。これくらいの素材ならそろそろ実現できる」「カメラはこれほどの大きさで、スピーカー機能が入っている」など、実際の製品を開発している方の視点で意見をいただきました。
小型化が難しいと指摘されたのは、バッテリー部分でした。ただ、同じく川原さん原作の「アクセルワールド」(「SAO」より未来の2046年が舞台)との兼ね合いもあるので、あまり小さくしすぎず、後頭部を包むパーツを付けることで最終的なオーグマーのサイズが決まりました。
「オーディナル・スケール」描くヒントになったのは“あのゲーム”
――オーグマー以外に、劇中に登場する近未来の技術はどのように描いたのか。
伊藤監督: そもそも劇中のARゲーム「オーディナル・スケール」は、どのようにプレイするものなのかと考えました。対人戦をするにしても、剣を振りかざした感覚がなく「スカッ」となってしまうのではと思い、どう描くか苦慮しました。ゲームをプレイしている感覚を、プレイヤーはどう持つのかなと。
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