ゆとり記者が聞く

少年ジャンプ編集部、騒然 「スマホと指で描いた漫画」がルーキー賞 新人漫画家あつもりそうさんの素顔(4/4 ページ)

「1コマに3~4時間かける」日も

 例えば1人の顔を描く場合、髪や目、鼻、口などの部位を4.7インチの画面いっぱいに広げ、何度も何度も指で線を引く。色はバケツツールで塗りつぶせるが、境界線上の細かな箇所は指で微調整する。

 前髪の線を1本1本指で描く様子を見ていると、全体でどれほどの時間がかかるのか想像もつかない。「実作業時間は正直覚えていませんが、1日3~4時間かけて1コマ描くことも。でも、勉強に比べれば苦ではなかった」(あつもりそうさん)

あなこい 『あなたが恋と言うのなら』のヒロインが顔を赤らめるシーン(7コマ目)
あなこい コマを目いっぱい拡大し、髪に線を入れる

 最も苦労したのは、線を引くこと。キャラの輪郭やペン入れなど、定規ツールを使わずに線を引くのは大変だったという。

 「指が線に重なるので、今どんな線が描かれていて、画面のどこが反応しているのか分からなくて。いったん指を離して戻るボタンを押して、また線を引いて……を繰り返していた」と振り返る。PCのようにショートカットキーを使えないのもネックだった。

 しかし、スマホで描くメリットもある。場所を問わずどこでも描けるので、執筆時間を多く取れた。スマホ本体をくるくる回しながら、描きやすい角度を見つけられるのもスマホならではだ。

スマホ スマホ本体を回しながら描けるメリットも

 地道な努力を続け、『あなたが恋と言うのなら』は見事「矢吹健太朗 漫画賞」で奨励賞を受賞した。大学受験にも成功し、新たな生活を送る今も、彼は漫画を描き続けている。

 ただ、“スマホで描く漫画家”は事実上引退となってしまったようだ。

 彼は今、大学の授業で必要になったノートPCと、眠らせていた板タブ、漫画制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」という環境で絵を描いている。

 「もうスマホでは描きません。読者にとっては何を使って描こうが関係ないですし、PCで描いた方が全然速いですからね」とあつもりそうさんは笑う。

 新人漫画家の挑戦は続く。

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小学生の頃には携帯電話とインターネットが身近にあった「ゆとり世代」の記者が、いま気になる若手をインタビュー。一般的に「競争が苦手」「自主性がない」とされるゆとり世代の正反対をいく、活躍する若者の共通点とは? もうゆとりとは言わせないぞ。

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