新規格「HDR10+」がコンシューマーにもたらすもの――パナソニック、小塚氏に聞く(2/2 ページ)
アップデートによるHDR10+対応は2017年末から
冒頭で触れたように、HDR10+ LLCによる技術ライセンスプログラムの本格始動は来年初のCES以降のタイミングになりそうだが、パナソニックは自社のプレミアム4Kテレビの「4K PRO」シリーズをファームウェア更新によって2017年内にHDR10+対応としていくロードマップをIFAで公開した。サムスンもプレスカンファレンスの中で、QLEDを含む2017年モデルの4Kテレビをファームウェア更新によってHDR10+対応とすることを表明した。
パナソニックはBDレコーダーやBDプレーヤーのHDR10+対応については詳細を発表していないが、小塚氏は再生機器についてはテレビよりも負担の少ない形でアップデートが可能になると述べている。テレビとプレーヤー機器をつなぐケーブルについては、HDMI2.0aに対応しているHDMIケーブルであれば買い替える必要なくダイレクト・メタデータの伝送が行えるという。
テレビなどハードウェアのメーカーにとっては、HDR10+を実装してしまうと、テレビにとって大切な“画作り”を工夫する余地がなくなってしまうのではという懸念があるかもしれない。「そこは共通となる部分のほかに、各社独自の画作りが生かせる領域を確保している」と、HDR10+が差別化要素の妨げになるものではないという所は小塚氏が特に強調したポイントだ。
HDR10+がコンシューマーにもたらす良い効果とは
HDR10+の始動はつまり、一般のコンシューマーにとって画質の良いHDR対応テレビの選択肢がさらにコスパの良い製品にまで広がるという歓迎すべき出来事と受け止めて良さそうだ。ロゴマークが発行されれば「高品位なHDR対応テレビ」もすぐに見分ることができるし、買い物の際に便利な指標にもなる。
さらにHDR10+はHDR10との下位互換も確保できているので、HDR10+のコンテンツが登場しても、既に広く普及しているHDR10対応製品で問題なく見られることも覚えておきたい。コンテンツ側では今後、製作環境のHDR10+対応が急ピッチで進められる予定だ。UHD Blu-ray Discについては、現在規格の中にオプションとしてHDR10+を追加する方向でBDAの方にリクエストが上げられているという。
小塚氏はHDR10+を立ち上げた3社に代わって、その技術規格が「他のHDR技術と競合することを狙ったもので全くはない」と強調した。HDR10との互換性を保ちながら、例えば一つのテレビがHDR10+とドルビービジョンの両方に対応することはメーカーの企画意図と作り込み次第で自由に選べる現状に変わりはないという。
HDR10+に関連するアナウンスはIFAが開催されたタイミングとほぼ同時期だったことから、ドイツでもHDR10+に対する反響は大きく、小塚氏も手応えを感じていたようだ。2018年の幕開け頃には参加パートナーも増え、安心して手頃な価格で購入できる高品位なHDR対応機器やコンテンツを、一般のコンシューマーが迷わず選べる環境が作られていることを大いに期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
4
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
5
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
6
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
7
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
8
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
9
「若手はAI使うな」は“老害”なのか? 新人教育で「AI禁止」した企業の1年後
-
10
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR