「世界よ、これが日本のブランドだ!」――麻倉怜士のIFAリポート2017(後編)(1/4 ページ)
AV評論家、麻倉怜士氏による「IFA 2017」振り返り。後編は日本を代表する2大メーカーのソニーとパナソニックを中心にお届けする。ソニーでは超小型カメラ「RX0」に往年のソニーらしさを感じ、パナソニックはベルリン・フィルとの協業を通じて音楽の真価に迫る。“今を乗り越えるのに精一杯”という状況を脱した2社は“これからのエレキ”を考え始め、人類をワクワクさせるさまざまな提案をぶつけてきた。世界よ、これが日本ブランドだ!
――IFA前編ではシャープが元気になってきたという話でしたが、その他のメーカーはどうだったでしょうか?
麻倉氏:ソニーとパナソニックは日本を代表するブランドとして、ここ数年のIFAで踏ん張ってきました。今年はシャープとともにこの2社も元気でしたね。
ソニーに関しては、内外から求められていた“ソニーらしさ”がついに復活しそうな印象でした。一時期のどん底状態を脱し、これまでもだんだん良くはなってきていたのですが、残念ながらソニー好きが「これはスゴイ」というモノはなかなか出てこなかったんです。それが今回ついに、超小型高級カメラ「RX0」として出てきました。実物を見ると往年のソニーらしさがよみがえった感じがしましたね。
麻倉氏:“ソニーらしさ”とはよく言われる言葉ですが、私はこれを“凝縮してデザインと価値を詰め込むこと”と考えます。モノのありがたさというか、モノの中に詰まっている魂というか、そういうものがRX0では発露しているんです。例えばウォークマンも、家庭に鎮座していたステレオをポケットサイズに詰め込んで、ヘッドフォンでどこでも音楽を聴けるというスタイルを作りました。近年欠けていた“ソニーらしいものづくり”がRX0にはあり、「この小ささの中に価値が詰まっている」という感じがします。まさに“It’s a SONY”な製品ですね。
これまでの製品を見てみても、RXシリーズ自体が大きな1インチイメージセンサーをベースにした高付加価値カメラ、というポジションになっています。これが掛け値なしに“手のひらサイズ”になったわけです。しかも1インチセンサーはそのままキープ。実際に取材してその中を見せてもらうと、結構大きなレンズとバッテリーでほとんど筐体(きょうたい)がいっぱい。わずかなスペースに回路を詰め込んだ超高密度設計になっていました。画質も当然こだわっていて、使い方や醸し出されるモノの魅力、魔力のようなものを感じました。
麻倉氏:面白いのは、これが単に小さくなるだけでなく、複数を同期した撮影もできるということです。オンリーワンの使い方として、床や部屋に埋め込んだ、これまででは見たこともなかった画像が撮れることをアピールしていました。単に従来のものを小さくしただけでなく、“小さくしなければできない撮影技法、新しい切り口”。小型化による新しい機能、新しい提案です。それも含めてソニーらしい。“Like no other”の精神で切り拓いていくところが出てきていました。
――大きさ、あるいは小ささを突き詰めていくと、あるボーダーを越えた時に従来とは全く違う価値が出てくる。ソニーはこれまでも“世界最小・最軽量”という言葉を好んで使ってきましたが、このRX0はまさに“過激な小型化”が生む価値を体現していますね
麻倉氏:こういうメーカーは前向きで、少々冒険をしてもすごい提案を出してきます。ですがそれは、企業にある程度の体力がないとできません。新たに投資も必要となり市場性も不透明となると、縮小傾向の時はなかなか足を踏み出せないわけです。
――チャレンジができる、あるいは面白いものを開発できているということは、企業としてソニーが上手くいっていることの裏付けだと感じます
麻倉氏:シャープの8KもソニーのRX0も、これまでにない切り口によるこれまでにない提案です。会社にそれだけ力が付いてきて、先のことを考えるリソースと余裕が出てきた。とても感動的なトピックですね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
7
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR